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「勇気を持てば、人は確実に変われる」

「人は変われる」と岸見さんは著書で書いていますが、人間は40歳にもなるとなかなか変われないような気もします。

岸見:嫌われることを恐れる生き方は、不自由で不便なので、できたら変わりたい。でも「変われない」と思った方が、都合がいい。変わったら、次の瞬間に何が起きるのか分からないと思ってしまうからです。

 しかし考え方次第で人間は確実に変われます。例えば、好意を持っている人が歩いてきて、ほんの数秒後にすれ違う。自分の気持ちを告白したいと思っている人だけど、相手がふいに目をそらす。そういう事態が起きたときに、自分が嫌われていて避けられたと思う人もいることでしょう。

 でも全く違う考え方をしてもいい。風でコンタクトレンズにゴミが入ったのかもしれません。「嫌われた」と思うのは変わりたくない人です。もちろん若い人の方が柔軟性はあるので、変わろうという勇気を持って、決心したら短期間で変われるように思います。

 家族であっても他人を変えるのは難しい。だから自分が変わるしかない。他者を操作できるというのは誤解です。子供でも自由に操ることはできません。子供は自分の期待を満たすために存在するわけではありません。

 馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできません。変われるかどうかは本人の問題です。カウンセリングに来るだけで大きな前進ですが、多くの人は変わらないでいようと決心している。口で言っても本当は変わりたくない。

確かに嫌われる勇気を持つと、自分は幸せになれるかもしれませんが、周囲との関係はどのように変化するのでしょうか。

岸見:あなたのことを嫌う人は増えるかもしれません。でもそれは自分の課題ではなく、相手の課題です。「課題の分離」を分かっていない人が多い。他人が自分を嫌うかどうかは、私には決められません。自分が好意的に接しようとしても、相手は嫌うかもしれない。でも人に嫌われるかどうかを悩む必要はありません。通常、自分のことをあらゆる人が嫌うことはあり得ません。自分を支持してくれる人は必ずいるので、そういう人とかかわればいい。敵視する人はきっといますが、そんな人たちのために自分の人生をふいにする必要はありません。つまらないことに、日々悩む必要はないのです。