どうやって議決権を行使するの?

 さて、株主総会を開いて取締役の選任決議を行う場合、オーナー社長であったAさんの株式については、Aさんの相続人によって議決権が行使されることになります。

 Aさんの相続人が1人であれば、その人が1人で全株式を相続して議決権を行使することになるので、特に問題はありません。また、遺産分割協議の結果、Aさんの持っている株式を相続する相続人が決まった後は、その相続人が議決権を行使することになるので、やはり特に問題はありません。

 しかし、遺産分割協議が整うまでには相当な時間を要するはずであり、それを待っている暇はありません。通常は、遺産分割協議が整う前に、早急に株主総会を開いて新たな取締役を選任する必要があります。その場合、複数の相続人は、どのようにして議決権を行使することになるのでしょうか。

株式の共有

 例えば、Aさんの持っている会社の株式が4000株だったとします。また、Aさんの相続人は、Aさんの奥さんとAさんの息子さん2人の合計3人だったとします。この場合、Aさんの奥さんの法定相続分は2分の1、息子さん2人の法定相続分はそれぞれ4分の1ということになります。

 そうだとすると、Aさんの奥さんは2000株、Aさんの息子さん2人はそれぞれ1000株ずつ相続することになりそうですが、そうではないところがやっかいです。

 Aさんの持っている4000個の株式1個1個について、奥さんと息子さんたち3人が法定相続分の割合で共有している状態になるのです。奥さんと息子さんたち3人が共有している株式が4000個ある状態になってしまうのです。

共有状態にある株式についての議決権行使

 法律上、各株主は、株式1個ごとに1個の議決権を有するということになっています。そうすると、Aさんのケースのように1個の株式を3人で共有している場合には、3人で1個の議決権を行使することになります。そして、そのような議決権が4000個あるということになるのです。

 このように1個の株式を複数の者が共有している状態にある場合は、共有者を代表して議決権を行使する人を1人決めて会社に通知しなければならないこととされています(会社法106条)。そうしないと、会社側は共有者全員に株主総会の招集通知を送付しなければならなくなるなど、会社側の負担する事務処理がかなり面倒なことになってしまうからです。

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