生活習慣病を引き起こし、老化を進めるSAS

 最近は睡眠時無呼吸症候群(以下SAS=Sleep Apnea Syndrome)が注目されている。その名の通り、眠っているとき呼吸が止まってしまう病気で、「10秒以上の無呼吸・低呼吸(呼吸停止)が一晩に30回以上、または1時間に5回以上あり、昼間の眠気など自覚症状を伴う状態」と定義される。

 国内の推定患者数は約500万人。中枢神経に原因がある「中枢型」もあるが、ほとんどは睡眠中に気道がふさがって息ができなくなる「閉塞型」だ。特に40~60代の太った男性に多い。

 苦しくなれば自然に呼吸を再開するが、眠りが浅くなるため、昼間も眠気が取れない。SASが原因の交通事故も多発しているし、生活習慣病にもつながる。「血液中の酸素が少なくなるので交感神経が優位になって血圧が上がり、インスリンの感受性が悪くなって糖尿病にもなりやすくなる」と虎の門病院(東京都港区)睡眠呼吸器科の成井浩司部長は指摘する。

 実際、同病院で751人のSAS患者を調べると、63.8%が高血圧、51.1%が脂質代謝異常、17.7%が糖尿病を合併していた(グラフ参照)。

 前に触れたように、眠りが浅いと老化も進む。熟睡時に分泌される成長ホルモンには脂肪を分解し、細胞を修復する作用があるが、SASで熟睡できないとガクンと分泌量が落ちる。そのため体脂肪もたまり、老化も急ピッチで進んでしまうわけだ。

 若さと健康を保つためには、安眠を妨げるSASは放っておけない。いびきが大きければ要注意。気になる人は検査を受けてみよう。

 日本睡眠学会のホームページでは、2015年11月現在、全国496名の認定医リストを公開している。この中から近所の医療機関を選べばいい。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2015年12月18日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)

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