ナイトキャップはNG。昼寝の前にはコーヒーを

 睡眠では、時間の長さとともに「眠りの質」も大事だ。「眠りの質」を上げるためにはどうすればいいのだろう? 白川代表に聞いた。

1. 酒、タバコ、コーヒーを控える

 コーヒーや紅茶に含まれるカフェインが眠りを妨げるのは常識。タバコのニコチンには興奮作用があり、同じく入眠を妨害する。アルコールは眠気を誘う気がするが、「寝つきは良くなるが、夜中に目が覚めやすい。レム睡眠(深い眠り)が減り、交感神経が興奮するので翌日に疲れが残る」と白川代表は話す。

2. 運動は朝よりも夜がいい

 運動は朝よりも夜がいい。白川代表によると、「人間の体温は就寝から19時間後に最も高くなる。このとき運動してさらに体温を上げると、眠るときの体温の下がり方がより大きくなって熟睡しやすくなる」という。午前1時にベッドに入るなら午後8時前後ということ。帰宅時に最寄り駅より1駅手前で降りてウオーキングを行うのも有効だ。

3. 寝る前にパソコンやスマホを見ない

 夜になると、脳の松果体から眠気を誘うメラトニンというホルモンが出る。パソコンやスマートフォンのLEDが出すブルーライトはメラトニンの分泌を抑え、眠気を追い払ってしまう。朝は窓を開けて太陽の光を浴びよう。メラトニンの分泌が抑えられ、体内時計を正常化してくれる。

4. 就寝前の入浴はぬるめのお湯で

 就寝前に入浴する場合、40℃ぐらいのぬるめの風呂にゆっくりと浸かるのがいい。熱い風呂は交感神経が興奮して目が冴えてしまう。どうしても熱いお湯に入りたい江戸っ子気質の人は、就寝2時間前までに済ませてほしい。

5. 睡眠時間を確保できないときは昼寝でフォロー

 仕事が忙しく、夜の睡眠時間が確保できないときは昼寝で補うといい。30分以上眠ると夜の睡眠が浅くなってしまうので、10分から20分を目安にしよう。

 意外な裏ワザとして、昼寝の直前にコーヒーを飲むという方法がある。飲んでから20~30分後にカフェインの効果が表れるので、すっきり目が覚める。

 「20分間の昼寝をした後の眠気」は「洗顔」や「光を浴びる」ことでも取れたが、「昼寝直前にコーヒーを飲む」のが最も効果が高かった(Clin Neurophysiol. 2003 Dec,114(12):2268-78)

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