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 読者のみなさんはどこで服を買っているだろうか。筆者は「赤貧洗うが如し」の暮らしぶりなので、ユニクロ、無印良品、GAPの3か所で、ほとんどの洋服を購入する。しかもいずれも定価で購入することはなく、すべてセールである。ここにライトオン、ポイントが運営する「レイジブルー」「グローバルワーク」、ジーンズメイトが加われば、ここ4年間で購入した洋服の全ブランドがラインナップされてしまう。もちろんすべてセール価格であり、おそらく「底値」で購入している。

 こんな話をすると、この業界以外の人からは「アウトレットで買う方が良いのでは」と言われる。だが、その認識はあまり正しくない。

お買い得度は通常店のセールが上

 巷で人気のアウトレットモールだが、それほどお得ではない。高額ブランドや海外ラグジュアリーブランドを購入したいのであれば、アウトレットはある程度有効かもしれない。しかし、一般的なSPA(製造小売り)やセレクトショップの商品ならアウトレットよりも通常店のセールの方がお買い得であることが多い。

 ここ3年ほどは仕事のついでがなければ、アウトレットモールを覗くことがない。以前は大阪・鶴見緑地の「はなぽーとブロッサム」(現・三井アウトレットパーク大阪鶴見)に、買い物目的で年に1、2度足を運んでいた。もう10年ほど前になるのでリーバイスやエドウイン、スポーツブランドなど卸売りを主体とする「メーカー」が多く出店しており、現在のようなSPAブランドやセレクトショップなどはほとんど出店していなかった。

 リーバイスやエドウインの店頭を眺めた限りでは、当時は本当に「過去の在庫品」が多く並んでいた記憶がある。「半年前に廃番になった○○」とか「1年前に生産を中止した××」などがメイン商材だった。その多くは色やサイズが不揃いで、なかなか購入には至らなかったのだが、それがある意味でアウトレットの醍醐味であったことも否定できない。

 2010年夏にモノ批評系雑誌の仕事で、オープンしたばかりの「三井アウトレットパーク滋賀竜王」に取材に行った。これはほぼ覆面取材で、片っ端から店舗を回って商品の価格をチェックし、どこが一番お買い得なのか判定を下す企画である。広大な敷地なので全店をつぶさに見て回ることは無理だったが、それでも20店舗ほどは商品と価格をチェックできた。

 その際、気になったのが、どの店も「過去在庫品が減り、アウトレット専用に製造された商品比率が高まっている」ということである。アパレル各社は長引く消費低迷の中で何とか利益を出そうと、在庫の圧縮を進めてきた。同時に、アウトレットモールが各地に林立することで出店が増えて、通常の在庫商品ではまかないきれなくなってきたのだ。

 先日も昨年12月にオープンしたばかりの「三井アウトレットパーク倉敷」を訪れた。ジーンズ関連の取材で児島と倉敷を回るついでである。

 余談だが、この駅直結型のアウトレットモールの開業はなかなかの暴挙であるように感じる。市街地のど真ん中、しかも駅直結の立地に、安さを売り物の1つにするアウトレットができれば、近隣の店舗は疲弊しかねないからだ。ここでもアウトレットが元々の存在から逸脱してきていることが分かる。

 倉敷では時間があまりなかったので数店舗しか見て回れなかったが、やはり竜王と同じく、アウトレット専用に製造された商品の比率が高かった。

 週に1度はかならず店頭をチェックするGAPを例にとってみよう。GAPのメンズは商品のほぼすべてを毎シーズン見ているので、もっとも確かだと思う。それに竜王にも倉敷にもGAPはあった。