読者の皆様はプレミアムブランドとラグジュアリーブランドの違いを明確に説明できるだろうか。
マーケティング理論では語れない高級ブランド
価格、歴史、顧客、品質などなど、様々な切り口が頭をよぎったかもしれない。答えは、ブランドの作り方にある。プレミアムブランドでは、基本的に従来のマーケティングの考え方、すなわちSTP(セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング)がブランド戦略の中心にある。セグメンテーションとターゲッティングは文字通りどのように市場を細分化しどのセグメントを狙うか、そして、ポジショニングとは競合に対してどのように差別化するかである。そのためのHow to が一般的に世の中で語られているマーケティング理論である。
一方で、ラグジュアリーブランドは作り方が全く異なる。ブランドの根幹は、あくまでデザイナーやメゾンの世界観であり、極論を言えば顧客も競合もブランドの根っこの部分では意識していない。ラグジュアリーブランドの立ち上げにおいては、そのブランドでしか味わえないオンリーワンの世界観を築くこと、作り手の主観を徹底的に磨き上げることが何よりも重要なのだ。
この定義に基づけば、例えば、日本が誇るデザイナーズブランドの1つ、コム・デ・ギャルソンは立派なラグジュアリーブランドである(ここでは詳細には触れないが厳密には、アパレルのラグジュアリーブランドは、デザイナーの世界観が先行するデザイナーズラグジュアリー(例:ジャン・ポール・ゴルチェ)と、ブランドそのものの世界観やアイコンが先行しデザイナーの創作範囲を規定するメゾン型ラグジュアリー(例:エルメス)に分けられる。コム・デ・ギャルソンは前者である)。
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