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 ビジネスには、業界用語、専門用語、略語が付きものだ。だが、メールをやり取りする相手がこれらをすべて理解できるとは限らない。こうした用語を文中で使う際は、相手が分かるかどうかを考えるという配慮が不可欠だ。

 メールでしばしば使われる略語に、「FYI」がある。例えば同僚がメールで参考になるニュース記事を知らせてくれたとき、文末に「FYI」と添えられていたりする。件名に「[FYI]●●社の件」などと書かれていることもある。

 「FYI」とは「For Your Information」の略で、「参考までに」という意味だ。送り手は「時間があったら読んでね」くらいの軽い気持ちで送ったのだろうが、この用語を知らない受信者は混乱する。「FYI」の意味を調べるのに、貴重な時間を費やしてしまうかもしれない。

 異なる業界の人とメールをやり取りする時には、業界用語に要注意。例えば、インターネット業界でよく使う「メーラー」は「メールソフト」。「サーバー」は「ウェブページなどのデータを管理するコンピューター」のように、相手に分かる表現に言い換える必要がある。メールは相手に合わせて書くのが鉄則なのだ。でなければ、ビジネス上思いも寄らぬトラブルを招くこともある。

 ここは、都内某所にあるビジネスメール研究所。メールマナーのスペシャリストである平野所長は、世間で日々やり取りされる膨大なメールの分析に励んでいる。彼をサポートするのが、ちょっと辛口だが優秀な部下、直井研究員。分析対象のメールにあれこれあだ名を付けるのが、彼女の特技だ。今日もビジネスメール研究所に、難解な用語をむやみに使ったメールが飛び込んできた――。