複雑系の好例はプレイステーション

インベスターABやGEなどが傘下に抱える企業は互いに事業の関連性は薄いから、ポートフォリオ的に管理しやすい。ソニーの場合は、シナジー効果も追求するわけでしょうから、本社の関与の仕方が難しいですね。

 だからこそ積極的に支援もし、経営者も探し出す「アクティブ」なインベスターになろうとしている。

 ただ、インベスターと言っても、GEのように業界のナンバーワン、ナンバーツーになれない事業は売り払うのかというと、それは違うと思っていますけどね。やはりソニー流の経営モデルを作り上げなくてはいけない。

 僕が目指そうとしているのは「複雑系の経営」です。複雑系の理論の中には創発的進化というのがある。さまざまな構成要素が互いに影響を与え合っていると、予期せぬ進化が生まれるのです。

 SCEのプレイステーションなどはその好例ではないでしょうか。同じような事業分野にいながら、さまざまな文化や技術が影響し合うと、突然変異的に全く違うものがポンと生まれてくる。それは秩序系の経営からは生まれない。そういう意味では、GEは非常に秩序だった経営をしていて尊敬していますが、真似をしようとは思いません。複雑系に基づく経営とGE的な秩序だった管理との両方を取り入れていくのが理想です。

出井さんは米国流の新しい経営手法をいろいろと消化して取り入れてきています。米国で普及しているスピンオフ(企業の分離独立)も、次の段階では考えますか。

 3月9日に組織改革の記者発表をした後、「NYタイムズ」など米国メディアの取材をいくつか受けましたが、米国人記者は僕のメッセージを100%理解していましたね。ソニーとして何を守るべきで何をスピンオフしてもいいと思っているかを明確にしたという評価でした。今後どの部門をスピンオフするなんていうことは、経営者の立場では言えませんが…。

 ともあれ、ソニーの経営改革は第1段階が終わりました。目標比で6割、進行中の本社改革まで入れると7割程度は達成したんじゃないかな。

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