悪循環におちいった場合は

 それと同時にそのような悪循環に入っている人に、アドバイスしたいことがあります。それは、ここだけはミスってはいけないというところは抑えることにプラスして、もう1つ心がまえとして必要なことがあります。それは、そもそもミスをなくそうと思っていてはだめだということです。きっと、ミスにミスを重ねているからこそ悪循環に入っているのです。ちょっとやそっとのミスをなくしたところで、焼け石に水です。自分ではミスを減らしたと思っていても、すでにミスの多いやつだという印象になっていますから、少しミスをしただけで、「またか」とその状況以上に思われてしまいます。それをちくちく指摘されたら、どんどんやる気を失っていきます。

マイナスからゼロを目指すのではなくプラスを

 であれば、ミスをなくそうという、マイナスから0を目指す目標ではなく、指摘しているやつがびっくりする成果を出してやろう、という方に目標設定を置くのです。マイナスから0を目指すのではなく、いきなりプラスを目指すのです。それで周囲を驚かせるようなことをなしとげてしまえば、ミスも隠れてしまいますし、悪循環から抜け出せます

 たとえば、カヤックのある社員でこういう話があります。「僕はカヤックの社長になります!」と意気込んで新卒で入社して来た漢(ヲトコ)の話です。そこまで息巻いたのにもかかわらず、その彼は、入社後はなぜか何をやっても失敗が続き。学生時代にもインターンをしたり、その会社でプロジェクトをまとめた経験などもあり、リーダシップもあるはずなのですが、何をしても、誰といっしょに仕事をしても、ここぞ、というところで失敗をしてしまい。まさに、前述した失敗してはいけないところでかならず失敗をする。そんな状況が1年以上続いていました。そして2つの部署でダメだしをされたあと、最後に別の部署にうつって、そこで復活をとげました。いまではその彼にしかできない能力でみんなに認められるようになりました。この一連の流れを僕は見ていて、上司との相性といった問題もありましたが、それとは別に、彼にはその社長になるという大きな野望があり、いつか、おっと見返されるような大成功を収めてやろうとチャレンジを続ける姿勢を貫いていたからよかったんだなと。

 もちろん、できることをこつこつと一歩一歩積み重ねるというのも重要です。でも時に、高い目標にあえてもっていくというのもありなのです。

落合監督もこう言っていました。

数字との闘いに勝つ唯一の方法は、
「達成するのは不可能ではないか」
という目標を設定することだ。

ミスとはちょっと違いますが、悪循環にはいったときは、あえて、逆に高い目標に変える。これも覚えておいた方がいい法則です。

【今週の一言】
ミスをなくそうという、マイナスから0を目指す目標ではなく、指摘しているやつがびっくりする成果を出してやろう、という方に目標設定を置くのです。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2012年5月8日に掲載したものを転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)

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