先の論文が2001年のデータを使ったのに対し、この論文では2003 年のデータを使っています。2003年の時点で世界主要500社のうち、日本企業は64社ありました。そのうち「ホーム地域」であるアジア太平洋からの売り上げが半分を超える企業は57社にのぼります。64社平均では81%が同地域からの売り上げとなりました。10年後の現在は、中国・ASEAN市場などの成長もあり、おそらく日本企業のホーム地域への傾斜はより高まっているでしょう。

 なお、この論文で「世界三地域でまんべんなく売り上げている真のグローバル企業」という結果になったのは、上記のソニー、キヤノンに、マツダを加えた3社でした。

単純なグローバル化論から、一歩引いた視点を持とう

 本稿の主旨は、日本企業がグローバル化できていないとか、それがダメとかいうことではありません。

 私の主旨は、「グローバル」という言葉を一人歩きさせないで、その意味合いをきちんと整理すること、そして世界各国の企業・経済動向を定量データから客観的に把握することの重要性です。

 昨今の「なんでもグローバル」の風潮では、なんだか世の中、モノも情報も人も企業も、何もかもがすべて世界中で均一につながって、ワーッと押し寄せてきている、という印象を抱きがちです。「強い多国籍企業は世界中の市場を支配している」といったイメージもあるかもしれません。

 しかし、経営学、あるいは他の学術分野でも、このような単純なグローバル化の視点に待ったをかける研究・論考が出てきているのです。世界中の市場でまんべんなく商売を成功させている会社は、現実にはほとんど存在しません。こういった視点からみなさんのビジネスを考え直してみることも、有用ではないでしょうか。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2013年8月20日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)

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