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 組織のスリム化や成果主義の導入による労働強化などに伴い、高まり続ける会社員のストレス。職場環境の悪化と共に、改善の兆しが見えない世界最悪レベルの通勤ラッシュも、働く人の大きな心理的負担となっている。ピーク時には300%を超えるとも言われる日本の通勤環境。携帯電話の利用やヘッドホンの音漏れもさることながら、「乗車時に、電車の『中ほど』まで進まない人々」にストレスを感じている人も少なくないのではないだろうか。

 すぐ降りるわけでもないのにドア付近に立ち止まれば、混雑に拍車をかける上、後から乗車する人の邪魔になる。中ほどまで進めば自分自身も楽なのに、奥へ行く素振りすら見せない人も多い。ただ単に気が利かないだけなのか、あるいは周りが見えていないのか。それとも、何らかの意図やトラウマがあっての行動なのか。心理学のスペシャリストと共に、「電車で中ほどまで進まない人」の心理を分析する。

(聞き手は鈴木 信行)

満員電車で都心へ通勤している方であれば、1度は「電車の中ほどまで進まない人」にイライラさせられた経験があると思うんですが。

川西由美子(かわにし・ゆみこ)
オランダに本社を置き、世界39の国と地域に拠点を持つ総合人材サービス企業、ランスタッドのEAP総研所長 兼 ビヘイビアルヘルス(行動健康科学)コンサルタント。国内外の企業・スポーツ界、病院、学校などで『ココロの健康管理』に関するコンサルテーションを手掛ける。企業向けには安全文化、品質向上のコンサルテーションを、海外ではインドネシアのロジスティクス企業や医療機関での組織再編時のチーム力向上講演にも注力。現在はフィンランドにて『リチーミングコーチ』資格も取得。日本とインドネシアでのリチーミングコーチ育成と企業、組織に対してリチーミング研修を展開中。小児がんの子どものための活動、NPOゴールドリボンネットワーク理事を務める一方、NPO法人JKSK(女子教育奨励会)の活動も。(写真:松谷祐増)

川西:そう思います。私自身、丸ノ内線で通勤していますが、乗車の際にドア付近で意味なく立ち止ろうとする方を頻繁に目にします。通勤時間帯の電車の混雑が激しいのは仕方がない面もありますが、よく見ると中央付近にそれなりのスペースがある車両は少なくない。皆が積極的に奥に詰めるようにすれば、少しは通勤環境も改善するはずです。

だからこそ、車掌さんも連日「中ほどまでお進みください」とアナウンスしています。でも実際には、ラッシュのピークを過ぎると「奥はガラガラなのにドア付近は混雑」みたいな車両すらある。詰めようと思えば詰められるのになぜ皆、そうしないのか、子供の頃からずっと不思議に思っていました。

川西:当たり前のことですが、すぐ降りないなら、奥に行った方が満員電車は絶対に楽です。ドア付近にこだわれば駅に着く度に降車、乗車を繰り返さねばなりません。

でも現実はすぐ降りるどころか終点まで乗るのに、ドア付近で30分も40分ももみくちゃにされ辛そうにされている方もいます。所長、電車に乗った時、一部の人がなかなか奥へ行きたがらないのは、人間のいかなる心理に基づく現象なのでしょうか。