資格予備校の広告には「社会保険労務士 平均年収800万~1000万円以上」などと魅力的に書かれている。もちろんこの金額やそれ以上稼いでいる社労士も、多く存在することを筆者は知っている。

 しかし、それは氷山の一角であり、資格を取り、勤めていた会社を辞め、独立した結果、年収が半減したなどというケースが決して珍しくないのだ。それどころか、年商100万円(月収でも年収でもなく)に満たない、開業社労士も少なくない。社労士の名刺を持ち、社労士会の集まりや勉強会に参加しながら、実際はサラリーマン時代に蓄えた貯金を切り崩し、それが底をついてくると、家族を養うために肉体労働や単純作業などのアルバイトで生計を立てる。そんな方の一部が、筆者の元にアドバイスを求めにくることが、最近増えている。

 また最近は、社労士になっても簡単には稼げないという風潮も広がっているようだ。前述の試験データを見れば、相変わらずに人気試験ではあるものの、受験申込者数は2010年をピークに減り続けている。

稼げる社労士と稼げない社労士の差は?

 では、年間で1000万円を超える収入を得る社労士とアルバイトで食いつなぐ社労士との差は一体何なのだろうか。彼らを見てきて1つ分かったことがある。それは「成功するもしないも、コンサル・スキルと営業力次第」ということだ。

 稼ぐことのできない社労士は、クライアントからの難しい依頼に対して、杓子定規に法律を持ち出し「ダメなものはダメなんです…」などと語る。一方で稼ぐ社労士は、「そこを何とか!」と言われれば、専門家のスキルを駆使してコンサル力を発揮し、クライアントである中小零細企業の社長を本気で守る姿勢を見せる。

 クライアントとの情報格差があったため、昔の社労士は知識と経験(値)だけで食べていくことができたかもしれない。しかしインターネットが普及した現在は、法律の知識だけならグーグルやヤフー知恵袋でいくらでも無料で調べられる。だから、専門的な知識があるのは当たり前として、そこにコンサルタントとしての応用力と行動力が無くては、その他大勢の社労士になってしまうのだ。

 もちろん、国家資格は打ち出の小槌ではない。資格はライセンスであり、それ自体がお金を生むものでもない。それどころか、社労士の地位を守るために(社会保険労務士と名乗り続けるために)、各都道府県の社労士会に毎年10万円程度の会費を納め続けなくてはいけない(会費は各都道府県によって異なる)。これはもちろん売上・利益があってもなくてもかかるマイナスのキャッシュフローだ。そしてこの会費が払いきれず、またはばかばかしくなり、社労士会を辞めて(脱退し)社労士でなくなる人も少なからず存在する。

 社労士などの職業はサラリーマンと違って定年はなく、それなのに毎年、資格の合格者は数千人単位で増え続けているという現実もある(今年2014年も4156人が増えたことになる)。少ないパイを多くの同業者が奪い合うのだから、考え抜いた戦略や戦術、マーケティングスキル、そしてコンサル・スキル無くして競争に勝つことはできないのだ。

 さらに社労士の中には「この資格だけでは食べていけない。だから行政書士を勉強してダブルライセンスを目指す」とか、「司法書士や弁護士だったら…」などと、稼げないことを保有資格のせいにする人もいる。せっかく、10人に1人という、難関試験に合格したにも関わらずだ。そんな方には「あなたがおっしゃっていることは、ラーメン屋では食べていけない。だからフランス料理店を始めたい。とおっしゃっていることと変わらないですよ」と筆者は答えるようにしている。仕事が取れないのは、食べていけないのは資格自体に問題があるのではなく、あなたのやり方(ビジネス)が悪いのだということだ。すなわち、営業力が欠けているのだ。

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