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 戦後はGHQの指導で、行政からお産はやっぱりちゃんと免許を持った助産師さんにかかった方がええでというふうに言われるようになったんですね。アメリカのマチソン女史という人が来て、病院でのお産を奨励したんです。田舎の家の古い納戸みたいなとこよりも、気持ちのいい病院でしたらどうですかと。

 終戦から時が経つにつれて、陸軍病院が払い下げられて何々国立病院というのに名前が変わっていきました。お医者さんも日本に帰ってきて、だんだん医療が充実してきたんです。それで、それまでの助産師の仕事は本当に減ったんですね。和歌山県下でも各集落の助産師がほとんどやめた。昭和25年ぐらいからだんだんやめていって、昭和30年頃には、もう本当に少ししか残っていない状況になりました。

 あっという間に変わりましたね。最近の若い人は、お医者さんじゃなしに助産師が子供を取り上げるということに驚く方も増えました。でも信じられんかもしれんけど、私が若い頃はみんながそうやって子供を産んでたんです。

「夫婦仲良く」

 考えが古いと思う方もおられるでしょう。時世時節ということがありますからね。今の多くの人の考えに逆らうようなことを、片意地張って言うのも自分がしんどい。だから私も、普段はこういう考えを分かってくれる人には話しましょうと思っているだけなんです。こんな話が役に立ちますか。

 若い人に言うことがあるとしたら「夫婦仲良く」。それが全ての基本ですよ。そうでなかったら、そもそも子供も生まれないわけですからね。生まれても、仲良くなければ子供に影響がでる。お母さんが旦那を馬鹿にしていれば、子供だって父親をないがしろにしますよ。人生は計画通りになんて行きません。自分中心じゃなしに、周りにいる人と互いに思いやって生きることですよ。

(この記事は日経ビジネスオンラインに、2015年1月23日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)