日本企業も潤す先行投資

 高速道路の終点近く、トンネルの前で脇道にそれると車両とは別に国境越えをする人たちが通る入国管理所がある。石垣を組んで作った「友誼関」は、昔は国の間に立ちはだかる関所として機能していたが、今は本物の入国管理所に向かう途中にある観光用の史跡に過ぎない。関をくぐり抜けると白い石を敷き詰めた広大な公園になり、その一角に真新しい入国管理所がある。

画像のクリックで拡大表示
友誼関の入国管理局。一帯は公園のような造りで、敷地内を移動するカートもある。憑祥市内へはタクシーや乗り合いバスで
画像のクリックで拡大表示

 ギラギラと照りつける太陽と蝉の声。厳しい照り返しの中、富裕層の観光客らしきベトナム人の団体が中国側に入ってきた。皆、ラフな格好で茶髪にアクセサリーを着けた若者もいる。ただ、大仰な設備の割に国境を行き交う人の数は少ない。道路も建物も、今ある需要に合わせたというより「先行投資」の意味合いが強そうだ。

 この先行投資は日本企業にも無縁ではない。興味深くこの国境ゲートの行く末を見守っている日本企業は多い。

画像のクリックで拡大表示
高速道路の終点にある検査場を通過すると国境のトンネルへ。抜けるとベトナム側
画像のクリックで拡大表示

 深センや広州、東莞などの地名が知られるようになった珠江デルタ地域は、「世界の工場」の総本山とも言える場所である。この10年ほどで加工貿易の拠点として頭角を現してきた。

次ページ 荷物も調べない辺境の混沌