※この記事は日経ビジネスオンラインに、2009年7月8日に掲載したものを転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。

2007年8月6日号より

 ラオスとの国境ゲートは数年後、中国にとって交通の要所となる可能性が大きい。メコン川に架ける橋と高規格道路でタイと直結し、インド洋に抜けるメドも立った。中国政府はラオス、タイの交通インフラ建設も支援、自らの「南下政策」を積極化している。

 ラオス国境の街、雲南省の磨カンに着いた時、思わず「砂漠のオアシス」という言葉が思い浮かんだ。そこに至る道の険しさと、ようやく到着した小ぎれいな街の風景は好対照をなしていたからだ。

 空港のある都市、景洪から200km余りの道のりを6時間かけて走破した。そのほとんどは大型車がやっと擦れ違える程度の道幅しかない曲がりくねった山道である。おまけに最後の数kmは工事中の泥道で、路面の凹凸で真っすぐ走れないほどの悪路だった。

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 一方、国境ゲートの手前、約500mほどの緩やかなカーブと何本かの小道から成る磨カンの街は、花が咲き乱れる中央分離帯や、両脇に並ぶパステルカラーの建物が彩りを添えている。人口はわずか約5000人。視覚効果を綿密に計算して作った街なのだろう。

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オアシスに隠された狙い

 このゲートの向こうにあるラオスは人口約600万人の小国である。1人当たりのGDP(国内総生産)は600ドル程度で中国の3分の1以下。国民は主に仏教を信仰し、穏やかな国民性とされるが、今はマルクス・レーニン主義を掲げるラオス人民革命党による一党独裁政権になっている。

 磨カンの国境ゲートを通じた貿易も、前回のミャンマー国境に比べるとずっと規模が小さい。2006年の実績で約30万トン、金額にして1億6000万ドル程度だ。ただし、貿易量は右肩上がりで、2005年まで年率30%程度で伸びてきたのが、2006年は一気に倍増した。勢いは今年も続いているという。

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 雲南省の省都、昆明とラオスの首都ビエンチャンを結ぶ国際バスも通る。この国境ゲートは夜間は閉鎖されており、朝の開門を見計らって多くのバスが通過する。朝8時台だけで4台。すべてのバスがこの磨カンの街で朝食休憩を取っていた。バックパッカーらしき西洋人の姿も見受けられた。

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