丹東は人口70万人の中規模都市である。対岸にある北朝鮮の街、新義州との間をつないでいるのが「中朝友誼橋」。飛行機嫌いで知られる北朝鮮の金正日総書記が訪中する時はほぼ毎回この橋を通るので、テレビの映像などを覚えている人も多いだろう。橋には1車線の道路と単線の鉄道しかないため、一方通行で使われている。

画像のクリックで拡大表示

 この日は約2時間おきに一方通行を切り替えていた。朝9時頃、友誼橋のたもとにある通関ゲートに行くと、中国から北朝鮮に車両が向かう時間帯だった。川沿いにある税関にやってきたトラックは敷地内にある友誼橋の入り口に直行する。

 橋の直前では貿易会社の若い社員がトラックを待ち受けている。荷主である彼らは事前に通関手続きを済ませ、発行された貨物の通関証明と運転手の通行証を運転手に渡すのである。友誼橋を渡れる貨物は、中国と北朝鮮両方の通関を事前に完了したものに限られる。一方通行の切り替え時間が迫っているのか、一時停車さえまどろっこしそうに通行証を受け取るトラック運転手は、給水所を通過するマラソン選手のようだ。

画像のクリックで拡大表示

 11時過ぎ、一方通行は北朝鮮から中国向きに切り替わった。次々と丹東に入ってくるトラックは北朝鮮の白いナンバープレートだ。「木村運送」「井上運送」など車体には日本語の社名が残っていることから、日本から来た中古車であることは間違いない。

 同じく日本の中古車が多かったミャンマー国境ではなぜか圧倒的に日産ディーゼル工業車が人気だったが、ここでは一転して日野自動車製一色である。日本から輸出される中古車には輸出業者や仕向け地による明確な得手不得手があるのかもしれない。

画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示

次ページ 中韓の鉄道路線も完成