コロナ禍からの経済回復を急ぐ中国は様々な公共投資を行っている。工業地帯からイノベーションセンターへのさらなる転換を目指す深圳では、公共投資の一環として外国人や在外華人、留学生などの受け入れにも力を注いでいる。深圳市の中でも現在、最も発展が著しい宝安地区では海外人材受け入れ・支援のための施設が開設された。
宝安区に新設された海外人材サポートセンター
筆者は12月5日、深圳市北西部にある宝安区で開催された「2020深圳国際人材双向創新創業トーク」に参加した。会場は宝安区に新設された深圳国際人材交流中心(Shenzhen Center for International Exchange of Personnel、 SCIEP)。完成したばかりだと思われる、ピカピカのビル「宝安人材園/翰宇財富広場」のオープニングイベントとして行われた。深圳国際人材交流中心と、筆者がメンターとして関わっている宝安区の大公坊メイカースペースの共同主催である。
ビルの名前が2つあるのは、同じ建物に2つの入り口があり、政府の人材関係機関が入っている宝安人材園とショッピングモールとオフィスビルである翰宇財富広場の入り口が同じ建物にあるからだ。

会場となったビルは宝安区の中でも北部にあり、ピカピカのビルよりも工場のほうが目につく。12月3日の「回復途上の中国経済、大規模な公共投資で深圳郊外に展示場が」でもお伝えした深圳国際会展中心にもほど近い。新設されたビルの向かいでは日系の印刷工場が今も操業している。サイトによると2003年から稼働しているようだ。この景色が、工業地帯からスタートアップタウンへの脱皮を図る宝安区の姿を象徴している。
こういった外国人材受け入れのための施設は深圳市内の各地につくられている。筆者の友人(日本の大学で博士課程を取得した中国人)は宝安区から2018年に分離したばかりの光明区の留学生受け入れセンター(外国の大学に進学した中国人が深圳で働く際に仕事を紹介する施設)で働いている。

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