中国オープンソースカンファレンス2020(COSCon'20)が10月24~25日、オンラインと北京・上海・成都・深圳の4都市の会場で開催された。

カンファレンスでは華為技術(ファーウェイ)、アリババ集団、騰訊控股(テンセント)、滴滴出行(DiDi)といった中国を代表する企業の幹部が登壇し、オープンソース推進を打ち出した。ファーウェイの「Harmony OS」やアリババの「AliOS Things」、テンセントの「TencentOS Tiny」など、各社は組み込み用途向けなどにオープンソースのOS(基本ソフト)を公開している。
さらに、テック企業各社は社内にオープンソース推進の部署や担当者を置き、評価制度やトレーニングプログラムなどを設けている。例えばDiDiは開発支援ソフトを含めてオープンソースのソフトウエアを広く公開し、自社のデータを研究者に提供するなど、オープンデータ化の試みを広く実施している。DiDiの提供したデータを基にすでに70本を超える論文が書かれたという。DiDiの担当者はオープンソース推進の考え方について「多くの開発者を引きつけること」「自社の技術を広く使ってもらうこと」「社内の開発者に学んでもらうこと」と力強く語った。
もちろん、大企業だけでなくコミュニティーも育っているが、企業の存在が目立つのは日本との大きな違いであり、この点は米国に近い。米グーグルや米マイクロソフトもオープンソースを強く推進している。
中国オープンソースカンファレンスを共同開催した米Apacheソフトウエア財団は最も成功しているオープンソース財団の1つだ。有名なオープンソースウェブサーバーのApacheのほか、多くのプロジェクトを管理しており、オープンソースライセンスであるApacheライセンスを広めている。そしてApacheインキュベーションとして、数多くのオープンソースプロジェクトを支援している。
インキュベーションで採択されたプロジェクトは、Apacheソフトウエア財団によるドキュメンテーション、プロジェクトの運営、技術などに関する指導を受けられる。中国からも19のプロジェクトがApacheソフトウエア財団の支援を受けている。
Apacheソフトウエア財団のクレイグ・ラッセル氏はカンファレンスのキーノートスピーチで「今のところコミュニケーションの公用語は英語だが、世界中にオープンソースが広がっているのは間違いない。機械翻訳を含めて、様々な言語でコミュニケーションができるように財団の運営を目指していく」と語った。
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