9月下旬、インドの首都ニューデリー郊外の新興都市グルガオンを視察してきた。筆者らが共同で取りまとめをしているコミュニティー内で呼びかけたボランタリーな視察ツアーだ。現地のリーガルスタートアップで働く田中陽介氏や東京大学の伊藤亜聖准教授、日本貿易振興機構(JETRO)のニューデリー事務所など、多くの方々にサポートいただいたこともあり、インドのデジタル化政策「Digital India」やスタートアップ情勢などについて非常に多くの情報を得られた。関係者のブログは以下にまとまっている。

デリーのインド工科大学(IIT)は、スタートアップ支援施設「FITT」を運営している。FITTに入居している様々なスタートアップを視察して、中国・清華大学のスタートアップエコシステムと様々な類似点があると感じた。どちらのスタートアップも、他国で十分にビジネスとして成り立っていることを事業にしており、その事業ですでにマーケットをつかんでいる点だ。

例えば、Vizara Technologiesはインドの遺跡などを3Dのデータにし、VR(仮想現実)グラスをかけて歩き回ったり、ミニチュアを3Dプリンターで出力したりといった形で、博物館やゲーム会社などから利益を得ている。
遺跡データのスキャンそのものは国連教育科学文化機関(ユネスコ)などが行うが、実際にゲーム画面などに使用するためには、色や細部を職人的なエンジニアが補って、3Dのボクセルデータにしなければならない。また、3Dデータの活用事例が蓄積されてくると、「このデータでどのようなことができるか」というコンサルティングやソリューションの提案でも利益を得ることができる。
EC(電子商取引)プラットフォームのように、あるときから突然大金が転がり込むような仕事ではなく、作業量と仕事が比例する手間仕事ではあるが、今は従業員数が20人程度まで増えた。日本ではアニメ制作会社やゲーム制作会社の一部が行っているような仕事だが、大学発のスタートアップとしては将来が期待できる成長ぶりだ。FITTからはこのようなスタートアップが多く出てきている。
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