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 トランプ政権が中国との距離をなるべく置こうとする「デカップリング」戦略を取ったことにより、中国の製造業に影響が出ている。しかし、それは新しい産業を生むことにもつながる。

9月9~11日に深圳で行われた国際電子展ELEXCON (写真:村谷英昭氏提供)

高度に分業しグローバル化してきた半導体産業

 ある2人が「半導体産業」と言ったとする。そのとき、2人が考えている半導体産業の範囲がピッタリと一致していることはまれだろう。例えば、米エヌビディアが自社製品のAI(人工知能)チップを発売するまでに、多くの企業が関わっている。企画・設計・販売は同社だが、設計の元となる「Arm」などの命令セットは、英アームと契約し、ライセンスを受けたものだ。半導体の設計に使う設計ソフトも欧米の企業が開発している。半導体製造は外部の半導体製造企業(ファウンドリー)に委託している。設計はファウンドリーと製造プロセスに大きく影響され、簡単に切り替えるわけにはいかない。もちろん命令セットも簡単に変えられない。

 そして、ファウンドリーも工場で使う様々な製造装置や材料、サプライ品は外部に依存している。たとえば韓国と日本との摩擦で話題に上ったフッ素化合物などだ。
そして、それぞれの分野で、プレーヤーの統合と巨大化が世界規模で進んでいる。半導体産業はまず欧米で起こり、命令セットは英アームや米インテルのものが今も多く使われている。一方、メモリ設計・製造の最大手は韓国サムスン電子、ファウンドリーは台湾のTSMCが最大手だ。

 歴史の長い米インテルなどは今も社内で多くの分野を抱えているが、分野ごとの役割分担と大規模化が進んだことで、分社化を含めた切り離しが進みつつある。分社化や切り離しをする時点で、切り離した産業にうまみはないと判断しているわけだが、産業は移り変わるので、その判断が正しいかどうかはまた別の話だ。たとえばコンピューター企業の最古参の一つIBMは、現在はソリューションビジネスが収益の柱になっていて、ファウンドリー事業が話題に上ることは少ない。だが、スーパーコンピューターの開発や半導体製造装置の開発は続けている。