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サービスと一体化した専用ドローンが生む産業の広がり

 ドローンならではのサービスと言えるのは、例えば複数のドローンを同時に制御して空間に光で絵を描くサービスだ。中国のイベントでは名物の1つになりつつあるドローンの群舞(編隊飛行)は、初期は米インテルなどの汎用技術を持つ会社のデモンストレーションから始まり、現在はいくつもの専門会社が出てくるまでになった。中国のHIGH GREATという企業はドローンの販売に加え、複数のドローンを自動で編隊飛行させて花火のような演出をするサービスを提供している。

 同社が手掛けているドローンの群舞を実現するには、汎用のドローンとは異なる特別な機能が必要になる。例えば、室内だとGPS(全地球測位システム)が機能しないため、部屋の中に複数の無線発信器を付けることで、正確に位置を特定することができるようになる。家庭用の室内ドローンでは手間やコストがかかり、無線発信器の配置は現実的ではないが、サービスとしてのドローン群舞であれば必要な機能だ。また、多くのドローンに短時間で演出のための動きをプログラムするソフトウエアを開発するなど、目的とするサービスが決まると、そのサービスに特化した機能を開発する必要が出てくる。

HIGH GREATは編隊飛行の規模に合わせ、複数のドローンをラインアップしている。

 こうした屋外での群舞に使うドローンも、初期は汎用ドローンのカスタマイズで行っていたものが、市場が大きくなるにつれて専用のシステムを開発し、大量生産することが必要になってくる。2019年のUAV EXPOでは、そうしたサービスと結びついたドローンが至るところに見られた。

 今回の国際UAV EXPOには、韓国や日本を含めた多くの国のドローン企業が出展していた。ただ、黎明期にParrotや3D Roboticsを生み出した欧米からの出展は目立たず、中国企業が圧倒的な存在感を示していた。

 第2次大戦直後、日本には数十から百数十ものオートバイメーカーが乱立したという。今は世界的な企業になっているホンダも当時はそうしたメーカーの1つだった。自動車でも多くの会社が淘汰され、残った数社が世界のイノベーションをけん引する存在になっている。

 ドローンは成長中の業界で、どのような企業が残り、最終的にどういう使われ方をされるのかはまだ分からない。それでも2019年のUAV EXPOに出展している各社は、それぞれ技術開発と実証実験を重ね、もはやUAVが「誰でも参入できる業界」ではないことをうかがわせた。

 インターネットによって世界中がつながったことで、無数の企業が乱立する混沌とした状態から力を持つ少数の企業に収束するスピードは上がっている。10年もたたずに乱立から集中へと向かい始めたドローン産業は、下請けから高度化に向かう深センという街そのもののポジションを反映していると言えそうだ。