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 世界中の起業家が集まる、スタートアップのハブのような場所がある。米国のシリコンバレーと中国の深センは代表的なスタートアップ都市だ。世界を代表するこの2つのスタートアップ都市を知りながら、今はレバノンのベイルートに本拠地を置くスタートアップがある。Band Industriesという企業だ。

 Band Industriesは、世界最大のハードウエアスタートアップアクセラレーター(スタートアップ企業を総合的に支援する組織)HAXの卒業生である。シリコンバレーを本拠地としているHAXは、深センに開発ラボを置いている。

 Band Industriesの創業者であるバッサムはレバノンの出身。だが、当初は米国で同社を立ち上げた。そのため社員の国籍は様々だ。

 製造しているのは楽器演奏をサポートしてくれるハードウエア。現在の主力商品「Roadie」は自動でギターのチューニングをしてくれる。

ギターの音を基に、モーターがペグを回してチューニングしてくれる「Roadie」

 2013年に開発された最初の製品はクラウドファンディングで17万8000ドルを集めた。さらに、2017年の第2世代の製品は50万ドルを集めて、いずれも量産にも成功。順調に会社を成長させている。同社製品は日本のアマゾンでも販売されている。「Roadie2」の大ヒットを受けて、ようやく最近になって競合製品が出始めてきたが、初代の発売から4~5年はライバル製品がほとんど出てこない、画期的な製品だった。

 バッサムは「『ミュージシャンのために何を作ったらよいか』を考えてプロトタイプを作ることと、オンラインのマーケティングに多くの時間を割いている」と話す。そうした試行錯誤は場所を選ばない。であれば「出身地であるレバノンが協力者を確保しやすい」とバッサムは語る。