独自の半導体チップが生み出した新製品

 WORLDSEMIはフルカラーで、かつ明るさや色を制御できるLEDを設計・製造している。まるで単体のLEDのようなサイズ・価格・端子数だが、複数のLEDを直列につなぎ明るさを個別に制御することが可能だ。

WORLDSEMIのLED。上が正面、左が背面。普通のLEDと同じサイズのパッケージに制御基板を含め組み込まれている(写真は米国でWORLDSEMIの製品を販売している<a href="https://www.adafruit.com/product/3484" target="_blank" class="textColRed">Adafruit</a>のもの)
WORLDSEMIのLED。上が正面、左が背面。普通のLEDと同じサイズのパッケージに制御基板を含め組み込まれている(写真は米国でWORLDSEMIの製品を販売しているAdafruitのもの)

 製品の実現には多くのアイデアが込められている。LEDを任意の色で光らせる場合、マイコンとフルカラーLEDをつなげ、マイコンでプログラムを実行させてLEDに流れる電流を制御し、明るさを変えるのが一般的だ。最低でもマイコンとLEDの2つの部品、そしてそれらをつなげる基板と配線が必要だ。また、たくさんのLEDを光らせるためには、電流を通す電線と制御信号を通す電線は別にするのが一般的なので、回路基板はどんどん複雑になっていく。

 ところがWORLDSEMIのフルカラーLEDは、制御用の回路を半導体チップとして開発・製造し、かつ制御用チップとLEDが1つのパッケージ基板に埋め込まれ、全体で1つの部品のように扱える。LED電源のプラスとマイナス、それに信号線の3本のケーブルだけで、複数のLEDを直列につなぎ、かつ個別のLEDを制御することができる。数百個、数千個というLEDを、3本のケーブルでつなぐだけで制御できるのだ。

 さらにWORLDSEMIはその制御回路を専用のICチップとして開発・製造している。多くの電子機器で行われているマイコンとソフトウエアで制御する方式は、変更やアップデートが可能で柔軟性があるのは確かだ。一方で、処理をハードウエアとして回路で構成して行う形式(ハードワイヤード論理)は電力と製造コストの両面で最適化が図れる。

 ICチップに使用している製造プロセスは250nmと、前回触れたFOSSiプロジェクトが取り組む130nmよりもさらに古いプロセスだが、その分安価に製造できる。

 半導体製造は写真のフィルムにあたるマスクの費用が問題で、10nmを切るような最新のプロセスだとマスク1枚が数千万円から数億円にのぼり、加工装置の高度化が進んだことで製造費用も高額になる。

 しかし、WORLDSEMIが発注している250nmというプロセスならマスクに原材料費と加工費用を含めても数十万円ほどで、ベンチャーが毎年新製品を出すスピードで独自のICを作ることができる。しかも、マイコン+ソフトウエアの方式に比べて自社設計の分、チップ面積を最適化できてコストが下がる。さらに量産効果も期待できる。

WORLDSEMI製品の制御回路が焼き込まれた専用のIC。半導体ウエハーで納品される
WORLDSEMI製品の制御回路が焼き込まれた専用のIC。半導体ウエハーで納品される
ウェハーで納品されたICを工作機械(ボンディングマシン)で配置する

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