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 前回のリポート「半導体チップ製造もオープンに グーグルがプロジェクト開始」にはたくさんの反響をいただき、筆者の元にも多くの質問が寄せられた。特に多かったのは「130nmという10年以上前のプロセスを開放することにどんな意味があるのか」「独自の半導体チップを作ると何ができるようになるのか」といったものだ。

 これまで半導体チップを作れなかった個人やベンチャー企業が製造に踏み出せる。それは、製造プロセスが最新でないとしても新しい製品を生み出す可能性があることを意味する。例えば最近のPCや夜の街がピカピカ光るようになったのは、独自の半導体チップを製造する中国のベンチャー企業のおかげだ。

深セン中心部のLEDライトショー。43のビルが連動して1つの映像を表示する

世界を光らせたWORLDSEMI

 上記の写真のように多数のビル群が連携して光る様子は、現代中国を代表する風景だ。2016年に杭州で開かれた世界20カ国・地域(G20)首脳会議で「これは後乗せのCGじゃないの?」と世界を驚かせた景色は、今や中国各地の大都市で見られるようになった。東京駅のプロジェクションマッピングに通行止めになるほどの人が集まったのが2012年のこと。中国のビル群は、外部から光を当てるプロジェクションではなく、街そのものが発光する。

 このイノベーションの中心となるLED部品を作っているのは、2007年に創業したベンチャー企業で中国広東省東莞市に本拠を置くWORLDSEMIだ。東莞市は深セン市の北に隣接していて、同じ経済圏と言っていい。工場から金融やショッピングモールに置き換わりつつある深センから、多くの工場が東莞市に移転している。

 同社のフルカラーLEDは、明るさの制御を可能にする回路が最初から組み込まれて1つのパッケージとして売られている。この製品はビルや内装のほか、家電製品やゲーミングPCなどにも採用されている。街からネオンサインが消え、様々な色に発光するLEDが目立つようになり、パソコンが光り輝くようになったのは、同社の製品がそれまでのネオンサインやLEDから置き換わったためだ。

WORLDSEMIの製品。一つひとつのLEDに制御用の半導体チップが埋め込まれている