「今回の半導体不足は、深圳製造業の姿を変えそうだ」
広東省深圳市に拠点を置くJENESISの藤岡淳一社長はこう語る。同社は「世界の工場」である深圳のサプライチェーンを活用してIT機器を開発・製造しており、数多くの日本企業を助けてきた。ソースネクストが販売し、80万台を超えるヒットとなっている翻訳機「ポケトーク」や、タクシー界の風雲児といわれるMobility Technologies(旧JapanTaxi)の車両に搭載されている支払い端末、客席タブレットなどはJENESISが開発・製造を手がけた製品だ。
ソースネクストが発表したリモート会議専用端末KAIGIO MeePetもJENESISが製造している。コロナ禍の中、キャッシュレスでの支払いなど非接触のニーズが高まり、ビジネスはむしろ拡大傾向にある。その中での半導体不足は、JENESISのみならず深圳の製造業エコシステム全体に影響を及ぼしそうだ。

多くのチップで1年以上の納期を求められる
藤岡社長は「これまで買い手市場だった半導体の需給バランスが崩れ、選択肢が極端に少なくなっている」と話す。
タブレットなどの中心部である米インテルや台湾の聯発科技(メディアテック)などのSoC(システム・オン・ア・チップ)や一部の液晶ドライバーチップは、2020年11月ごろから品不足が始まった。最初は一部チップの価格上昇という形で表れた品不足はその後拡大。低価格の代替品である中国・紫光展鋭(UNISOC)のチップやセンサー、マイコンなどの価格高騰を招き、多くのチップについて1年以上の納期を要求されるといったことも起きている。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1181文字 / 全文1908文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「「世界の工場」の明日」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?