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 前回は厚生労働省がリリースしている接触確認アプリ「COCOA」について取り上げた。今回は同様の接触確認アプリをリリースしているシンガポールの取り組みを見ていきたい。

 シンガポール政府は4月7日に罰則を伴う新型コロナウイルス対策の法律を制定し、4月8日から部分的な都市封鎖(サーキットブレーカー)を開始した。サーキットブレーカー時はテークアウトを除く飲食店の営業が禁止となり、ほとんどの商店も営業停止になった。市民が外出する際はマスク着用が必須で、住所が異なる人同士が会うのは禁止。知人とジョギング中に立ち話をしても罰金という厳しい措置が取られた。

 政府は6月1日から段階的にサーキットブレーカーの解除を始め、6月18日以降はフェーズ2という段階にある。まだ在宅勤務が推奨され、イベントスペースや映画館などは営業が禁止されている。

サーキットブレーカー中のシンガポールで撮影。シンボルであるマリーナベイ・サンズ全体が閉鎖され、連帯を示すライトが点灯している。会合が規制されているため見物する人もいない

 多民族国家で外国人労働者も多く、金融と貿易で経済が成り立っているシンガポールにおいて、外国籍の住民を含めた市民すべての行動を変えるのは難しい。筆者は4月後半までシンガポールに滞在していたが、営業停止やソーシャル・ディスタンスの指導のために巡回する政府の職員を頻繁に見た。

巡回中の政府職員。テーブルの間隔や従業員のマスク着用など様々なチェックを行う

 徹底した対応のため、市内での感染拡大はゼロにはならないもののサーキットブレーカー発令後2週間ほどで急速に収束した。しかし、郊外で集団生活を行う外国人労働者の間で起きている爆発的な感染拡大は、ピークの1日1000人近い状況からは多少収まったものの、今も1日あたり数百人の感染者を生んでいる。

シンガポール政府はメッセンジャーアプリのWhatsAppでも情報提供を行っている。6月21日に提供された情報では、市内では9件、外国人労働者のドミトリーでは254件の感染が出ている

シンガポール政府が開発した接触確認アプリ「TraceTogether」

 シンガポール政府は強制力を持つCovid-19暫定措置法や政府職員の見回りだけでなく、様々な対策を段階的に進めている。その中の1つがスマートフォンを使った接触確認の試み「TraceTogether」だ。