筆者が住んでいる中国南部の広東省では、デルタ株と思われる新型コロナウイルスの変異株が上陸し、大規模なPCR検査が行われている。また一部地域では移動制限が実施された。

 今回の感染は5月20日に広州で発見された1人の陽性者から150人超に感染した。中国工程院院士の鍾南山氏がリポートを発表し、上海在住の日本人医師である藤田康介氏が日本語で解説している

 藤田氏の解説によると10日あまりで1人の陽性者から5世代先まで感染者が広がり、一部地域の封鎖や大規模なPCR検査といった対策を行わなければ、最大で730万人の感染者を生む恐れがあったという。

 中国では大規模な行動トラッキングを行っているため、感染経路はかなりはっきりと追跡できる。今回のデルタ株による感染についてはマスクをしていても感染したケースや、12秒ほどノーマスクで同じ空間にいただけで感染したケースなど、これまでの新型コロナ対策の常識が通じない感染力の強さが報じられている。

ショッピングモールの近くにできた臨時のPCR検査会場
ショッピングモールの近くにできた臨時のPCR検査会場

 大規模なPCR検査を広範囲にわたって何度も行い感染者をきちんと捕捉したこと、感染経路を特定して短期間でリポートと対策を出したことから、中国政府の新型コロナ対策が日々洗練されてきていることがうかがえる。

一斉PCR検査の際は、居住区の入り口に検査会場が設置され、そこを通過しないと家に帰れないようになっていた
一斉PCR検査の際は、居住区の入り口に検査会場が設置され、そこを通過しないと家に帰れないようになっていた

 中国は空港での隔離や医療機関での動線の分離などを徹底的に行っているが、感染力の強いデルタ株に対応するために、病院の発熱外来を通常外来からこれまで以上に離す、建物内部を陰圧にして外に空気を出さないなど、対策をアップデートするようだ。

 海外からの入国者隔離についても、筆者にあてがわれたホテルは外に空気がもれないよう陰圧になっていた(関連記事:まるで工場の工程管理、中国の徹底した新型コロナ対策)が、非対応のホテルもある。こちらについても広州、深センの両市は、5000人規模の隔離施設を建て増しする予定で動いているという。

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