広東省広州市は6月2日、ライ湾区白鶴洞街とライ湾区中南街を「高リスク地域」に指定すると発表した。高リスク地域はほとんどの場合、外出制限措置が取られ、中リスク地域では域外との移動が制限される。中国は全体としては新型コロナウイルスの感染拡大の抑え込みに成功しており、行動制限を伴うリスク地域の設定は少なくなっている。今回のウイルスは変異株と見られ、広東省では大規模なPCR検査などの対策が行われている。
中国では2020年2月、ほぼ全土で外出禁止などの行動制限を行った。当時はほとんどの国にとって対岸の火事だったため注目を集めたことから、中国では今も頻繁に都市封鎖を行っていると誤解している人もいるかもしれない。
しかし実際は、大規模な検温・行動履歴管理・消毒やマスク着用の徹底・そして何よりも大規模なPCR検査体制と厳格な隔離の態勢を整えたことにより、人々の生活は新型コロナ前にかなり近づいていて、2021年2月には全国で高リスク地域がゼロになった。都市封鎖が解除になった後も、輸入症例を中心に散発的に陽性者が見つかるたびに、感染者が行動した範囲をかなり細かく特定して、消毒やPCR検査などで感染拡大を防ぐ措置が取られている。感染源が特定できないときは1日ごとに(あるいは1日に数度)、中リスク地域が増える。
行動制限を伴うリスク地域の設定は経済の停滞を招く。本来行われるはずだった経済活動が行われなくなってしまうからだ。新型コロナがまん延すると大規模な行動制限をしなければ抑え込めなくなるので、大きく経済を停滞させてしまう。一方、健康コードや行程コードを用いた行動トラッキングや検温、PCR検査などは既存の経済活動を阻害しない。むしろ大規模な公共事業として多くの人々に仕事を与えている。
経済と両立可能な施策を充実させることで都市封鎖を最小限に抑える対策は効果を上げている。広東省の疾病予防コントロールセンターは、5月22日から6月中旬までに発見された131人の陽性患者のうち、123人までは感染経路が判明していると、発表している。
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