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 大規模な下請けから少しずつ産業が分化してきた中国のサプライチェーンは、さまざまな得意分野を持った中小企業が分散し、競争と協調を繰り返している。

 システムの中心になる、複数の機能を一つのマイコンに統合したSoC(System on a Chip、岩佐琢磨氏は動画の中では「ソック」と発音している)については、米インテルや米クアルコムといった欧米企業(その後、台湾のメディアテックや中国のAllwinnerなど)が開発してきた。その多機能なSoCを載せたSoM(System on Module)は、開発力の乏しい中小企業が独自のハードウエアを製造するビジネスを助けた。

 SoMは、SoCを取り扱う商社がSoCとDRAM、パワーマネジメントIC(PMIC)等の周辺部品を小型基板に実装して販売し始めたものだ。商社にとってはより多くの会社にSoCを販売することができ、ハードウエアを開発する企業にとっては開発の手間を省くことができる。

 ジェネシスホールディングス社長の藤岡淳一氏の講演にも登場したデザインハウスの走りである。動画では、深センのほかに上海や寧波といった地名も登場するが、深センには多くの製造業があるため、また上海にはクアルコムやインテルといった欧米系の中国オフィスとそれを扱う商社が多いため、それぞれデザインハウスが集積している。寧波は台湾から近く、メディアテックのような台湾系の部品を扱う商社から発展したデザインハウスが多い。

 デザインハウスは電子基板のみを取り扱うが、SoCを用いて製品を作る際に、主導的な役割を担う。最終製品にするために必要な部品リスト(BOMリスト、Bills of Materialsと呼ばれる)を提供してくれるためだ。

 電子基板に、ディスプレーやバッテリーといった部品やプラスチックでできた外装を組み合わせてスマートフォンやタブレットといった完成品になるが、デザインハウスが全体を統括しているのではない。これらの部品を組み立てる工場やプラスチックの外装を作る射出成形の工場は完全に別会社だ。部品から製品まで同じグループが手がける形で成長してきた日本の製造業とは大きく異なる。