「中国のスタートアップの今後10年ぐらいのトレンドをどう見ている?」

 一風変わった産業用ロボットアームを作ろうとしているElephant RoboticsのCEO、ジョーイから先日、チャットでこんな質問があった。

 日本人からこういった質問を受けることは多いが、中国のスタートアップのCEOから尋ねられるのは珍しい。たいていの起業家は今取り組んでる自分の製品に夢中だからだ。それが深圳の強さでもある。

 筆者が質問に答えると、ジョーイは「面白い、もっと聞かせてくれ」と返してきた。結局、盛り上がって1時間ほどチャットをしてしまった。そのときのやりとりは以下のようなものだ。

Elephant Robotics CEOのジョーイ。同社が作ろうとしているロボットは「人間と同じ空間にいて、人間と助け合う」がコンセプト。

「コンピューター以後」「インターネット以後」の仕事

 筆者の見方としては、中国かどうかはあまり重要ではない。コンピューター以前の仕事かコンピューター以後の仕事かどうかが重要だ。それと同じぐらいインターネット以前の仕事かインターネット以後の仕事かも重要だ。コンピューターは技術をすっかり変え、インターネットは社会をすっかり変えた。ビジネスは社会と技術の接点で数多く生まれるから、これはスタートアップを含む企業を考える上で一番重要な視点だ。

 既存の会社はコンピューターシステムでビジネスを組み立てている会社に置き換わっている。例えば、従来型の流通や販売の会社は米アマゾン・ドット・コムに置き換わったし、既存の金融機関は中国のアント・グループに置き換わった。広告会社は米グーグルに置き換わった。同様に、アナログの電子機器やフィルムカメラ、レジスターなどは、スマホのようなコンピューターに置き換わっている。

 同じモーターを使った製造業でも、掃除機の英ダイソンはモーターを自社で設計・製造している。一方、ドローンの中国DJIはモーターコントローラーのマイコンチップを自社で設計・製造している。DJIのドローンは空飛ぶスマホと呼ばれるように、同社はコンピューターを作る会社だ。

 今、画面の中に表示されるものや情報はプログラミングによって比較的コントロールしやすい。一方で物理材はコントロールが難しい。ミクロな物理材だとチップ、人間サイズだとロボット、もっと大きいものだと自動運転などの分野で、物理的なものをコンピューターでコントロールするイノベーションがこれからもたくさん起きるだろう。この分野は深圳に大きなアドバンテージがある。

 加えて、インターネットは社会をすっかり変えた。テクノロジー企業にとっては、開発手法がすっかり変わり、オープンソースの手法を中心に据えた会社が伸びるようになっている。

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