中国政府は各地方政府にワクチン接種の目標を課しているようで、どの地方政府も接種率向上に必死になっている。職場やコワーキングスペースにワクチン接種の出前部隊が登場するなど、2週間前にお伝えした「職場にワクチンの『出前』も 物量に物を言わせる中国のコロナ対策」の状況から、急速に洗練されつつある。
筆者は深圳市で5月14日に2回目のワクチン接種を終えた。1カ月前の4月14日に行った1回目の接種とは予約から接種までのシステムがすべて異なり、非常にスムーズだった。しかも多言語対応や医師から接種対象者への説明を含めて、すべての部分に多くのリソースが注がれていると感じた。
進化した予約サイト
中国でも地方政府ごとにワクチン接種が行われている。1回目の接種では広東省が用意したプラットフォームで予約をしたが、2回目は深圳市がWeChat上に構築した外国人向けの予約システムを使用した。複数のウェブサイトや健康管理アプリから同じ予約システムへのリンクが張られているようだ。筆者は「健康深圳」というWeChatのミニアプリから予約システムに入り、予約を行った。
外国人向け予約システムのためすべて英語だ。名前、パスポート番号、中国で働いている場合は社会保険番号が登録されており、過去の接種歴ともひも付けされる。
予約後は受付コードが発行される。日本ではワクチン接種券が効率的に読み取れず、内閣官房IT総合戦略室が撮影用のスタンドを全国の自治体に配布すると発表するなど混乱が生じている。深圳の接種券はスマホ画面にバーコードが1つだけ表示されるシンプルなものだ。
現在、中国国内で接種されているワクチンは、1種類の不活化ワクチンをSinovac(科興生物控股技術)やBeijing Biological Products Institute(北京生物製品研究所)など複数の企業で製造している。同じ企業がmRNAなど別方式のワクチンの開発をしているので誤解されやすいが、同じ不活化ワクチンを使っているので、1回目と2回目で別の会社が製造したものを接種することができる。
もちろん物理材であるワクチンは製造工程でのバラツキを完全にゼロにできないので、可能なら同じ企業で製造されたものがよいが、現在の予約システムでは「ワクチン製造者(Vaccine manufactures)」の欄で「こだわらない(All)」を選ぶことができる。ワクチン製造者を指定すると接種可能な病院の数が減るので、筆者はAllを選び、蛇口人民病院を指定した。
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