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「世界の工場」から「世界の研究開発拠点」に

 ここ数年で、飲食店や販売店などで、タブレットに大きなスピーカーがついたものや、タブレットにカード決済の機能が追加されたものなど、「市販されていない、特別なハードウエア」を見かける機会が増えた。そのうちのいくつかは藤岡氏の工場で製造されているものだ。

 現在の深センが備えている、スピードの速い中小企業が連携した柔軟な製造エコシステムは、事業会社から出てくるビジネスアイデアをスピーディーに具現化することにたけている。ジェネシスはそういう成功パターンをいくつも手助けしている。

 米ツイッターや米フェイスブックのようなソフトウエア会社ではソフトウエアを内製している。また米アップルや中国のドローン大手、DJIのように、ハードウエアそのものに強みがあり、ビジネスのコアである企業ではハードウエアの企画設計を自社で行い、製造プロセスのみをフォックスコンのようなEMS企業に発注する。

 ジェネシスのビジネスはその中間で、日本交通のようなコアビジネスがある会社のビジネスアイデアに使用する機器を、深センではコモティディ化しているハードウエアをベースに数千台といった小ロットで具現化し、ハードウエアの品質保証やサポートを含めたサービスを提供する。

 藤岡氏が動画で「アジャイル型製造」と説明するこうした仕組みそのものが、工場から発展してきてハードウエアのシリコンバレーに行き着いた深センの現在地を示していると言えるだろう。