家庭学習向けの動画を公開した福井県教育委員会

 だが、何の動きもないわけではない。例えば、福井県教育委員会は4月14日から、「ふくいわくわく授業」として家庭学習用の動画コンテンツを公開し始めた。

福井県は家庭学習用の動画コンテンツ「ふくいわくわく授業」を公開している
福井県は家庭学習用の動画コンテンツ「ふくいわくわく授業」を公開している
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 オンライン授業ではなく学習支援サービスという位置づけだが、対象は小学1年生から高校1年生までと幅広く、各学年ごとに算数・数学、理科、外国語・英語の各教科について、4月に学校で習うべき内容を配信している。4月14日から5月1日まで、平日毎日6本の動画をアップするという充実ぶりだ。動画は「YouTube」で公開しているので、誰でも好きなタイミングで確認することができる。

 動画の内容は授業をそのまま録画したものではなく、この動画用に撮影したものだ。小学校低学年向けは紙芝居を利用するなど工夫しており、テーマごとに短い時間で区切って飽きさせないようにしていると感じた。

福井県の家庭学習用の動画コンテンツ。この動画用に撮影をしている
福井県の家庭学習用の動画コンテンツ。この動画用に撮影をしている
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 YouTubeの福井県教育庁チャンネルには4月28日時点で5000人以上の登録者がいて、特に小学校低学年向けの動画は再生数が数千回に及ぶなど、多くの子供たちが見ていることが分かる。

オープンな教育コンテンツで時間割を自動作成

 また学習塾などは、多くの教育コンテンツを公開している。文科省もそうしたコンテンツをまとめて、オンライン教育のためのポータルサイトを開設した。

 だが、ポータルサイトの内容はWebサイトへリンクの列挙されているだけだ。教師向け詳細版はコンピューターから認識しづらい、セル結合した表計算をPDF化したものだ。

子供の学び応援サイト 教師向け詳細版(中学校 国語)(<span class="textColRed"><a href="https://www.mext.go.jp/content/20200422-mxt_kyoiku02-000005345_5.pdf">PDF</a></span>)
子供の学び応援サイト 教師向け詳細版(中学校 国語)(PDF

 これでは、コンピューターがデータを読み取って、自動で目的のコンテンツを探したり、マッチングやレコメンドしたりすることは難しい。

 「データ解析を民主化せよ 新型コロナで重み増す『オープンデータ』」でも触れたように、コンピューターが読みとりやすいCSVなどの形式でデータを公開するオープンデータ化が進めば、外部の人や組織もデータを様々な形で活用できる。

 以前の記事でたびたび紹介しているCode for Sabae福野泰介氏は、教育分野でもオープンデータ化に取り組んでいる。

 福野氏自身のサイトでオープンデータ化された教育データを集める呼びかけを行っているほか、オープンデータ化された教育コンテンツの活用事例として、「時間割ガチャ」というサービスを公開している。

福野泰介氏が公開している「時間割ガチャ」。学年と科目を入れると、時間割を自動で生成してくれる。
福野泰介氏が公開している「時間割ガチャ」。学年と科目を入れると、時間割を自動で生成してくれる。
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 時間割ガチャのようなアプリケーションが作れるのは、教材コンテンツがどのような内容か、何年生向けかといったデータが付加されているからだ。福野氏はそうしたデータの形式(データ定義)についても公開し、自らが関わるプログラミングクラブネットワーク(PCN)でプログラミングの教材コンテンツを公開している。

 オンライン学習の分野でも、オープンデータにより可能性は広がっていく。すべての子供に均質なサービスを提供するのは難しいかもしれないが、教師、生徒、コミュニティーの自発的な活動を後押しし、「オンラインでできる学習はオンラインへ」と移行していくことは、新型コロナ後を見据えた社会のために役立つはずだ。

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