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(写真:PIXTA)

 新型コロナウイルスの感染拡大で小中学校や高校の休校措置が続く中、子供たちの学習の機会をいかに確保していくかが大きな課題になっている。どのように学習をしてもらうのが望ましいのか明確なゴールのない中で、オンライン教育に取り組む組織も増えてきた。

 リモートでの学習は生徒や学生の年代などによって難易度や取り得る手法が異なる。大学や大学院などでは、積極的にオンラインに切り替えて、授業を再開するケースが目立つ。

 慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)は4月6日、環境情報学部長の脇田玲教授名義で授業をオンラインに移行するメッセージを出し、続いてキャンパスの原則立ち入り禁止を発表した。

慶応義塾大学環境情報学部の脇田玲教授は「家にいろ。自分と大切な人の命を守れ。SFCの教員はオンラインで最高の授業をする。以上。」とシンプルなメッセージを発表した

 筆者がビジネススクールで非常勤講師を務める早稲田大学も、4月6日、授業開始を5月11日に遅らせた上で授業をオンラインで配信すると発表した。東京大学も4月1日付で当面オンラインのみで開講すると発表するなど、多くの大学はオンラインに移行している。

 携帯各社もオンライン教育に向けにパケット代無料などの支援策を打ち出している。実験などの物理的な施設を必要とする学科や研究活動を除いて、大学のオンラインへの移行は着々と進んでいる。

 大学に比べて課題が多いのが、義務教育である小中学校だ。小中学校の生徒の場合、一定水準以上のオンライン環境を整えられるかどうかは家庭の事情に左右される面がある。また、学習の進捗についても生徒間で大きな差が出ないことが求められる。文部科学省からは「指導計画を踏まえること」との指示が出ているが、教員のITリテラシーに負う部分が大きく、具体的なオンライン学習のサポートは出遅れている。

 筆者は4月25日に開催された、日中の学生たちがオンライン教育などについて意見交換する「Dot STATION 2020」に参加した。イベントでは、日中両方で学習経験を持つパネリストらから「日本の対応は遅れている」という指摘が出た。

文部科学省の「学校に登校できない児童生徒に対する学習指導について」(PDF

 ただ、15歳時点での学習内容の理解度を測る学習到達度調査(PISA)などのデータでは、日本の義務教育は今も世界上位グループに位置している。現在の仕組みはそれなりに結果に結びついているので、大きく変えるのは時間がかかるだろう。