健康コードの確認は目視が中心
上記のように現場レベルでの混乱は多少あるものの、個人の特定・検査履歴・行動履歴の3つを管理するという仕様は共通しているため、省をまたいだ移動は難しくない。
システムが異なるとはいえ、名前やパスポート番号などの情報を何度も入力する必要はなく、健康コードアプリへの接続を許可すると、自分の名前やパスポート番号、PCR検査履歴などが受け渡される。中央政府が管理しているデータベースへのアクセスを省ごとに許可しているか、またはアプリ間でデータを受け渡していると推測される。
コードの運用については、どの省・特別市でも大差なく、イベント会場などへの入場では指定の健康コードの提示が求められる。ただ表示されるQRコードをスキャンして確認する作業は、筆者が参加したイベントや博物館への入場、会社訪問ではいずれも行われていなかった。
スキャンと確認には数秒を要するので、数万人規模のイベントで漏れなく行うのは事前の準備が必要になる。空港など国境での水際対策や一度陽性者が発見された後のトラッキングについては相当精度の高い管理が行われているため、大量の人間が短時間で入場するイベントや博物館などは運用が多少ゆるくなっているようだ。
とはいえ、もしも他人のスクリーンショットでチェックを突破するような行為が露見すれば厳罰の対象になるだろうし、そのような事例が増えてくれば工数をかけてでも厳格にチェックされる形に改善されるだろう。
約14億の人口を抱えながら、国内での新型コロナ対策についてはほぼ成功を収め、大規模イベントなどを実施できる状態になっている中国。システムや運用についても随時修正を繰り返していることがうかがえるため、今後もその動向を注視していきたい。
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