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 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、シビックテックと呼ばれる行政と市民エンジニアの連携が広がっている。総務省はデータを利用した取り組みをさらに広げるために、オープンデータについてのガイドラインを公開した。

 「東京都公式の新型コロナ対策サイトはオープンソースで作られた!」などで触れてきたように、市民エンジニアと行政の連携による新型コロナ対策の取り組みはますます拡大している。

 東京都副都知事の宮坂学氏のツイートによると、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトのアクセスは3月末から急増し、毎週100万人程度のアクセスがあるようだ。同サイトはオープンソースのため、対策サイトは様々な自治体に広がり、公式・非公式を合わせて40を超える地域に拡大している。

 また、病床数と患者数を都道府県ごとに確認できるダッシュボードなども公開されている。緊急事態宣言となった7都府県などで病床にゆとりがないことが確認できる。こうしたシビックテックと呼ばれるエンジニアと行政との連携は、安倍首相が緊急事態宣言を発令した際の会見でも言及された。

市民とのさらなる連携のために必要なオープンデータ

 今、シビックテックの障害になっているのは、行政が発表するデータがコンピューターで読みやすい形になっていないことだ。「新型コロナで広がるオープンソース運動は日本人の働き方を変えるか」でも触れたとおり、記者会見で発表され、紙やPDFで配布されるデータは、コンピューターシステムで読み込んでインターネット上で表示することに向いていない。コンピューターに読みやすい形で公開されたデータは「オープンデータ」と呼ばれている。オープンデータをさらに進めるため、総務省は3月31日、ガイドラインを公開した。

 総務省の「新型コロナウイルス感染症対策サイトのためのデータ公開について」(PDF)では、現在、行政と市民が連携して情報提供を行っているシビックテックの状況を説明した後、コンピューターで読み込みやすいオープンデータとは何かに触れている。併せて有志のエンジニアと連携してオープンイノベーションを行っていくための相談窓口を設けたと説明している。

総務省の「新型コロナウイルス感染症対策サイトのためのデータ公開について」の一部。新型コロナウイルス対策サイトがオープンソースの技術で開発され、それによって多くの自治体に広まっていることを説明
オープンソースのサイトを作りやすく、更新しやすくするために、コンピューターが判読しやすいデータをインターネットで公開することについて説明している
自治体が市民と技術を介して協力するシビックテックのために、相談窓口を開設する

 コンピューターが読みやすいデータを作るために、相談窓口で人間が説明するのは皮肉な話だが、黎明(れいめい)期はそういうものなのだろう。市民エンジニアが自治体に説明をするのではなく、推進活動は官公庁が担い、エンジニアが開発に専念できるのは助かる。

 ガイドラインが策定されても、状況がすぐに改善されるわけではない。「COVID-19 Japan 新型コロナウイルス対策ダッシュボード」など現在開発されているサービスのほとんどには、データの出典について記載があるほか、データ提供の募集についても記されている。4月11日、開発のコアメンバーでもある福野泰介氏は、「厚生労働省の方へ、CSVオープンデータ化で効率化しましょう! 新型コロナウイルス国内事例における都道府県別の患者報告数表示アプリ」と題してアプリを公開し、ブログで説明した。