台湾のIT大臣、オードリー・タン氏も作業に参加
このような仕組みをオープンソースという。東京都の新型コロナウイルス対策サイトはオープンソース(複数のオープンソースライセンスのうちMITライセンス)で作られている。どうやって要望がまとめられ、修正がなされたかも、すべて公開されており、誰でも(プログラマーではない人でも、例えば誤字脱字を直すといった形で)参加できる。
また未経験でも参加できるように、貢献の仕方やサイト構築にあたっての行動原則なども分かりやすくまとめられている。
こうしたルール作りや文章はプログラムそのものと同じぐらい大事だ。今回のプロジェクトのルールや文章の洗練度合いには、Code for Japanというプログラマーたちの非営利団体がこれまで活動してきた経験が反映されている。
Code for Japanはこれまでも市民とエンジニアの連携、つまり「シビックテック」の活動を多く手がけてきている。上記のようなルールとコミュニティーがあるから、直接会ったことがない人同士が、いきなりオンラインで仕事を始められるし、新人がコミュニティーに参加して貢献を続けることで成長することができる。オープンソースの最も正確な語義は「ソースコードが公開されていること」だが、このように見ず知らずの人たちが共同作業することは、オープンソースがその語義を超えて育んだ文化と言えよう。
東京都の新型コロナウイルス対策サイトは上記のような仕組みで作られているため、誰でも協力できる。新型コロナウイルス対策でも話題になった台湾の38歳のIT大臣、オードリー・タン氏もその1人で、ソースコードを修正している。
タン氏の参加はメディアにも取りあげられ、プロジェクトに参加しているエンジニアたちも大きく盛り上がった。現在の開発コミュニティーはほとんどが日本語でやりとりされているので、海外からの参加者を増やすのは実質的には難しいだろうが、タン氏が実際にコードを修正できるのはオープンソースならではだ。他のシステムでは考えづらい。
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