ハーバード大のビジネスマンのためのコンピューターサイエンス

 米ハーバード大学は「ビジネスマンのためのコンピューターサイエンス(Computer Science for Business Professionals)」という講座をオンラインで公開している。

ハーバード大学が公開している「ビジネスマンのためのコンピューターサイエンス(Computer Science for Business Professionals)」

 この講座は「CS50」という理系学生向けのより詳細なコースを一般教養課程のためにサマライズしたものだ。1日2時間程度の講義を6週間受けることで、一通りコンピューターサイエンスを学ぶことができる。

 同講座の第1章「Computational Thinking」では、コンピューター=計算機が計算処理によってグラフィックやネットワークを実現していること、計算処理では「何かに最適化するために何かを諦める」というトレードオフが行われていることについて説明している。

 また第5章の「Technology Stack」では、インターネットがサーバーやルーターなど様々なハードウエアやソフトウエアによって構成されており、それぞれのテクノロジーを階層化し、仕組みを説明している。

 「現在のAIはこういうことはできる」「これらは近い将来にできるだろう」「こういうことはそもそもできるか分からない」といった判断は、コンピューターの動作の仕組みやトレードオフを理解することで初めて可能になる。知識が不足していると怪しい情報にだまされたり、間違った判断を下したりすることになりかねない。

 例えば、最近の中国のテクノロジーやAIの進化については、これまでコンピューターと縁が薄かった識者がコメントすることによって「間違った意見」が広まっている。企業経営者向けに講演すると、そうした間違った解説をベースにしたおかしな質問をよく受ける。

 基本的なコンピューターサイエンスは、項目ごとに細かいトレンドの違いはあるものの、大部分は体系化された一連の知識の固まりで、大学の教養課程で学ぶレベルのものだ。インフレ・デフレと政策金利の関係を知ることや、損益計算書・バランスシートを読めるようになることと、それほど大きな違いはない。

 すべてがコンピューターにつながる社会はますます広がっていくだろう。もっと多くの人がコンピューターサイエンスを学べば、デジタル化する社会に適応しやすくなり、既存のビジネスの再構築を助けるだろう。経営者にとってはコンピューターサイエンスはもはや必修科目になっているといえるのではないだろうか。

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