米ラスベガスで開かれた世界最大のデジタル技術展示会「CES」で、中国・深センの企業、銀星科技(Silver Star Technology)が新型のロボット掃除機を展示していた。ルンバのような形状だが、中央に液晶で表示される「目」が付いている。この「かわいいロボット掃除機」は、まだ名前も付いていない、単なる試作品だが、筆者がツイッターでつぶやいたところ猛烈にバズった。


 筆者のツイートは、この原稿を書いている1月11日時点で2万件のいいね、7352件のリツイートがあった。CESでは世界中の名だたる企業が大きな発表を行う。今年はソニーが電気自動車の開発に乗りだすことや、トヨタ自動車が実験都市「Woven City」をつくると発表したことが大きな話題となった。そうした大ニュースに比べたら、無名企業のささいな試作品にすぎないロボット掃除機だが、筆者のツイートのリツイートの数は米国のトヨタ公式アカウントのWoven Cityに関するツイートを上回った。

ハッシュタグごとにツイートを分析するサイトaka.tvが掲載したCES2020でのランキング。ロボット掃除機へのツイートは大きな注目を集めた
ハッシュタグごとにツイートを分析するサイトaka.tvが掲載したCES2020でのランキング。ロボット掃除機へのツイートは大きな注目を集めた

 CESでは、一般公開前のプレスデーに様々なセッションが開かれる。その中で「現在のAIについての神話と現実(Myth and Reality in Today's AI)」というセッションがあった。

 AIに関する議論は、それぞれの「AI」の定義がバラバラだったり、現時点で可能なことと不可能なことの区別がついていなかったり、できていないことの技術的な課題がきちんと認識できていなかったりすることが多く、表層的なものになりがちだ。ところが、このセッションは、登壇者がユニティ・テクノロジーズやマイクロソフトなどで実際に手を動かして仕事をしている人たちで構成されていることや、さほど大きい会場でなかったこともあって、中身の濃いセッションになった。

CESで開催された「現在のAIについての神話と現実」セッション。USAトゥデーのエド・バーグを司会に、マイクロソフト、ユニティ・テクノロジーなどから実務担当者が登壇
CESで開催された「現在のAIについての神話と現実」セッション。USAトゥデーのエド・バーグを司会に、マイクロソフト、ユニティ・テクノロジーなどから実務担当者が登壇

 ここで「もちろん技術的にAIは進化を続けていくのだけど、アプローチの違いとか、これまでやっていなかったことで別の効果を生むことはできないだろうか」という問いに対して、マイクロソフトで金融サービスに関するAIとデータサイエンティストを担当しているロバート・ファノン氏は次のように答えた。

 「中国の小米(シャオミ)が出している小愛シリーズのスマートスピーカーは面白い。グーグルやアマゾン・ドット・コムなど、欧米のスマートスピーカーはAIアシスタントにキャラクター性を持たせず、個性のないロボットのように仕上げる。ところがシャオミの『小愛同学』は、学校の同級生の女の子のようなキャラクター性を持たせている。シャオミに限らず、百度(バイドゥ)などもパーソナルアシスタントにかわいいキャラクター性を与えている。AIが進化して人間と区別がつかなくなるのはまだまだ先の話だと思うが、愛嬌で親しみを覚えさせるアプローチは可能性がある。AIでも『どういう気分か』のような推定は技術的にある程度やりやすいはずだが、まだそれほどサービスで試されていないアプローチだ」

 マイクロソフトの担当者がパーソナルにカスタマイズされたアシスタントについて語ると、ついつい悪名高いオフィスシリーズのイルカを思い出してしまうが、この意見は他のパネリストの関心を引いた。

 筆者はバイドゥやシャオミのスマートスピーカーを使っている。筆者の中国語の発音がそれほどうまくないこともあり、キャラクター性を楽しむほどの操作はできていないものの、ファノン氏が言うほどキャラクターとしての味付けがされているとも思えない。

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