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 11月20日、第5回民主党大統領候補討論会が、米ワシントンDCと時差のないアトランタで開催された。DNC(民主党全国委員会)がどこまで調整をもくろんだかは不明ながら、同日、下院ではトランプ大統領の弾劾調査公聴会の前半のハイライトと言えるソンドランド駐欧州連合(EU)米大使のヒアリングが実施された。

 この日、下院では「香港人権・民主主義法案」を満場一致で通過させており、案件によっては一致団結する米国の力をうかがわせた。半面、結果の出ない弾劾公聴会では相変わらず、民主・共和に分かれて泥仕合を続けている。公聴会の継続で議会開会コストも増加しており、それを問題視する意見もくすぶっている。

 こうした中、民主党議員の間で亀裂が入るのではないかと感じさせるエピソードが起こり始めた。

党内批判を繰り広げたギャバード下院議員(写真:AP/アフロ)

弾劾告発者にFBIが疑念

 ソンドランド大使の公聴会は、11月21日付の日経新聞の電子版「『見返り要求、トランプ氏の意向』 ウクライナ巡り駐EU大使」にあるように、トランプ大統領のモラルの低さを強調するようなものだった。同大使は、トランプ大統領が不正を仄(ほの)めかしていたと自身が感じたことを述べる際に、時として「ホワイトハウスは」という主語を使って説明している。

 このため、米メディアの報道の多くもあと一歩で弾劾決定ということを感じさせる論調になった。仮に、同大使の発言が100%民主党の期待した通りであったならば、その夜に開催された大統領候補討論会も全候補が一丸となってトランプ弾劾で盛り上がったことだろう。

 もっとも、同大使は「大統領から直接聞いたか」と事実の真相に迫る確認の質問には「Other than presumption(自分の推定以外にない)」と回答、「Nothing(何もなかったということか)?」と質問者を嘆かせた。トランプ弾劾のポイントについては、11月12日付拙稿「政治ショー以上にはなりそうもないトランプ弾劾」を見てほしい。

 トランプ大統領の弾劾公聴会を巡っては、米連邦捜査局(FBI)がニューヨーク・タイムズに告発した人物の聴取に関心があると発表している。公聴会の初日から、誰も直接トランプ大統領からの指示を受けていない、または横で指示するところを見聞きしていない、という発言が続いたことで、告発内容の信ぴょう性に疑問を抱いたのだろう。

 しかも、11月21日の公聴会では、米国家安全保障会議(NSC)の前欧州・ロシア担当上級部長であるヒル女史に、男尊女卑を感じさせる高慢な質問を浴びせる議員が登場、次の民主党議員質問者がそれをわびるという事態まで起こった。