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 9月4日、米CNNが第3回となる民主党大統領候補討論会(9月12日開催予定)に進出できる10人の候補者を集めて、「気候変動危機」と題したタウンホール形式のフォーラムを開いた。10人の持ち時間はそれぞれ40分で、合計7時間に及ぶ長丁場のフォーラムである。

 民主党の大統領候補争いを見ると、各候補の政策にリアリティーがないことに加えて、堕胎の承認などキリスト教徒に受け入れられない政策を打ち出している、といった理由もあり、トランプ大統領が率いる共和党に対抗できるような状況にはなっていない。

(写真:Sandy Huffaker / Getty Images)

リアリティーに欠ける気候変動対策

 その中で、気候変動問題は民主党にとってトランプ大統領に対抗できる数少ない政策の一つだ。オバマ政権は気候変動抑制に関する多国間協定「パリ協定」を批准しており、リベラル層にとっては関心の高いテーマ。今回の予備選に立候補している候補者も政策案の上位に位置づけている。

 そこで、リベラルメディアは気候変動を民主党の最重要政策と位置づけて、9月4日のタウンホールと9月19、20日の2回に分けて討論会を設定したのだ。ちょうどバハマに大打撃を与えた超大型ハリケーン「ドリアン」が近づいている時期だったことも、気候変動に対する関心を後押しした。

 もっとも、タウンホールは政策の不十分さを露呈する結果に終わった。化石燃料の使用をやめた後、1000万人を超えると言われる化石燃料産業に従事する人々の雇用をどうするかという明確な回答ができなかったからだ。

 候補者によって1兆ドルから16.3兆ドルと大きな差があるが、気候変動対策は巨額の予算を必要とする政策だ。民主党支持者の多くは賛同しているが、共和党支持者の多数が反対しており、中道層をどう納得させるかが政策実現のカギを握る。だが、影響を受ける人々の雇用を保障できないのであれば、現実的な政策案にはならない。

 しかも、再生可能エネルギーに移行する過渡期の手段として原子力を活用するという候補者が複数いたが、原子力は自然保護を重視するリベラルの意見には合わない。自然保護のために肉の消費を減らす(牛が多くの牧草を食べるため)という意見も出たが、ベジタリアンの若者はともかく、肉食を基本にする中高年には奇異に映っただろう。

 極めつきは、サンダース上院議員が気候変動の原因となる人口増を解消するために堕胎を認めると発言したことだ。会場からは拍手が起こったが、キリスト教の教義を信じる多くの米国人は受けつけないだろう。