(写真:AFP/アフロ)
(写真:AFP/アフロ)

 8月15日、16日の週末、ニューヨークでは500件の発砲があり7人が死亡した。ニューヨークの安全性が低下していることを受け、トランプ大統領はニューヨーク市のデブラシオ市長を批判。国土安全保障省の専門家や州兵の派遣を示唆した。これに対して、デブラシオ市長はすぐに反発し、ニューヨークの安全は自分で守るという趣旨のアナウンスを行った。

 ニューヨークの安全レベルは、新型コロナウイルスの感染拡大とフロイド事件(2020年5月にジョージ・フロイド氏が警官に殺された事件)以降の暴動、そしてこの2つの出来事を利用した強盗などの犯罪の増加によって急速に低下している。

 例えば、20年初めからの銃撃による被害者数は8月16日現在で1095件と19年の581件の2倍弱となっている。また年初から8月9日までのデータでは、殺人が前年比で3割増、強盗が4割増、車のガラスなどを破壊して金品を奪う強盗事件は6割増となっている。

 マンハッタンもごく一部を除けば危険地域となってしまったため、ニューヨークに拠点を構える海外企業なども駐在員の外出を基本的に禁じているほか、安全な州への避難指示を出すといった措置を取っている。日系企業も同様で、大手メディアの記者でも州外への避難を指示される例が出てきており、取材どころではないようだ。

ニューヨークが危険な街になったのはなぜか

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この記事はシリーズ「酒井吉廣の「2020年米大統領選」〜トランプ再選を占う」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。