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(写真:ロイター/アフロ)

 5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで、46歳の黒人男性が警官に首を膝で8分46秒間押さえつけられ、息ができずに亡くなった(以下、「ミネアポリス事件」と呼ぶ)。翌日から5月31日までに全米140以上の都市で160回のデモが起こっている。一部でデモ隊が暴徒化したため、多くの州で警官では対応し切れず、州兵を動員した。警官や州兵は住民の安全確保に当たっているが、中には被害者への弔意を示す警官も現れており、暴徒と警官という単純な構図が複雑化する様相を見せている。この暴動はキング牧師暗殺後のデモ以来、約50年ぶりの規模とのことである。

 暴動の激しさなどは既に世界中のメディアが報道しているが、その背景などの説明があまり行われていない。もちろん、これは大統領選挙にも影響を及ぼしそうな話ではあるものの、これほど瞬時に全米でデモが起こった理由も説明されていない。本稿ではミネアポリス事件に対するデモを4つの視点から見ていく。

1.ミネアポリス事件に対するデモの先導者は誰か