その後、3月16日にオハイオ州が予備選を延期すると発表した一方で、アリゾナ、フロリダ、イリノイ3州は、投票場所や投票時間帯の変更、手紙での投票締め切り日の変更などの対策をして、予定通り3月17日に予備選を強行した。
予備選実施に対しては、オハイオ州より感染者数が多いフロリダ、イリノイ両州では住民の不満もあった。現時点でも、両州は感染者が1万人を超えて上位10州に入っている。もう1つのアリゾナ州も早々に延期を決めたケンタッキー州より感染者が多い。
3州の予備選の結果は、バイデン氏が3州合計でサンダース氏に150人の差をつけて全勝した。3月13日付拙稿「バイデンに固まりつつある民主党、サンダースの逆転はあり得るか」にも記したが、3月はブルームバーグ氏が自陣営と選挙資金をバイデン氏の応援に使うと明言していたこともあり、バイデン氏は自身に有利な流れを加速できたと考えられる。なお、ブルームバーグ氏は、その後も「打倒トランプ」のために資金支援をすると発表している。
この間、筆者は、サンダース陣営の1人から次のような話を聞いた。「バイデン陣営は新型コロナによって流れが変わる前に差をつけて、できればその後の予備選を飛ばしてしまおうとしているのではないか」
大統領選挙は、第2次世界大戦中の1940年、1944年も実施されている。今回は感染症という特殊な事態ではあるが、予備選や大統領選が中止されるかどうかというと、簡単には中止されないと思う。ただ新型コロナウイルスの感染拡大の帰趨次第ではあり得ない話ではない。
早すぎた「女性を副大統領候補に」という判断
バイデン氏は3月15日の討論会で、副大統領候補に女性を選ぶと約束したが、それが現時点では裏目に出ているように見える。
新型コロナ対応で、全米のみならず全世界の注目を集めている政治家は、トランプ大統領とクオモ・ニューヨーク州知事だ。クオモ知事を大統領選に、との見方まで出ている。
この緊急事態下で、クオモ知事が大統領選に飛び入りすることはさすがに考えられない。ただ仮に、7月までに感染症が収束した場合には、強力な副大統領候補になる可能性があることは間違いない。
しかし、彼は女性ではない。バイデン氏は結論を出すのが早すぎた。現段階では、Medicare for Allを受け入れてウォーレン氏を副大統領にするか、これまでの討論会などでほとんど対立せず、また男性が投票する際にマイナス点が少ないクロブシャー氏にするか、の二者択一であるというのが下馬評だ。
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