(AP/アフロ)
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 民主党のバイデン候補は4月に入って副大統領候補選びに入った。同氏は3月15日開催の第11回民主党大統領候補討論会で、女性を副大統領候補とする考えを明言している。同時に、閣僚案についても作成し始めたことを親しい友人に漏らしている。

 同氏の選挙本部ではサンダース陣営に対して、次のステップについて語りたいと提案している。8月17日の週に延期された民主党大会と9月から始まるトランプ大統領との討論会に向けた準備を始める算段だ。

 民主党全国委員会(DNC)は、今月中にもう一度の民主党候補者討論会を計画している。しかし、バイデン氏は「新型コロナウイルスへの対応以外のことは頭にない」と語り、これ以上の民主党討論会や予備選は不要との認識を示唆した。

 新型コロナで選挙活動ができなくなり、各州の予備選も延期されている。そんな中、早めに民主党内で本戦への流れをつくることで、前回(2016年)のヒラリー・クリントン候補がスーパー・デリゲート(議員などの支持者)問題でサンダース候補との確執が深まり、本戦にも影響が出た事態を回避しようと考えているのだろう。筆者が知る民主党下院議員も「新型コロナという緊急事態の下で団結できなければ、再び民主党は負けるだろう」と語った。

 しかし、全部で3979人の選挙人のうち結果が出たのは2302人分と、まだ3分の1以上が残っている。バイデン氏が圧倒的に有利といっても、獲得代理人数は1217人と、指名獲得に必要な1991人までまだ774人が必要だ。914人を獲得しているサンダース氏との差は303人。これを大差とみるか、逆転される可能性がまだ高いとみるかは、人によって異なる。

 既に予備選から脱落した候補者が獲得していた選挙人数は171人。この数字がどちらの候補に入るかは、脱落候補者がどちらを支持するかとは無関係に決まる。特に今回は2つの不確定要素がある。

 1つはブルームバーグ氏の55人。この数字はカネで買われたといわれており、これからどうなるかは流動的だ。もう1つは、ウォーレン氏が獲得した81人。直近のアンケート調査では、新型コロナにより「Medicare for All」が必要との意見が急増しており、ウォーレン氏はサンダース氏とともにこれを支持した。そのためウォーレン氏が獲得した選挙人が、サンダース氏支持に回る可能性がある。

 このような不確定要素があるにもかかわらず、民主党はバイデン氏で本戦に突き進もうとし始めている。

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