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日本人FEDウオッチャーの厳しいパウエル評価

 米ダウの最高値からの下落は、客観的に見ても、これらのタイミングと符合する。にもかかわらず、FEDウオッチャーのFRBやパウエル議長に対する視線は厳しい。特に、日本人ウオッチャーの厳しさが気になるところだ。3月3日の利下げ時にも、15日の利下げ時にもパウエル議長が何かを隠しているように受け取られたというような論調だった。

 異なるメディアに同じようなコメントが出るということは、彼らは米国の市場参加者にヒアリングをしたのだろう。上述のようなフェイクニュースを信じれば、「隠している」との印象になるのは当たり前だ。

 しかし、冷静に考えなければならないのは、3月3日は市場の目が米国に集まってきた中で通常の2倍の幅の金利を下げる思い切った対応をしたことである。また、その後のWHOによるパンデミック宣言を受けて、3月13日にはトランプ大統領が国家非常事態宣言で経済救済策を出した後に、FRBが独立した判断で経済刺激策を出したのである。

 「金融政策はアート」という言葉が意味するところは、これらのFRBの動きを総合的に判断する必要があるということだ。また、「市場は鏡」という言葉は、パウエル議長のコメントもさることながら、実際のFRBの行動と合わせた評価と、それに対する市場の反応を見なければいけないことを意味する。もちろん、そのためにはフェイクニュースの影響を取り除く必要がある。

 なお、FRBが2008年以来のゼロ金利政策を始めたことを受けて、リーマン・ショック時のブッシュ大統領と異なり、トランプ大統領が先進国の首脳から恨みを買っているため、国際会議を招集するリーダーシップを発揮できないとのコメントもかなり出ている。だが、リーマン・ショックは、リーマン・ブラザーズ証券が米国のみならず先進国でモーゲージ・デリバティブをやっていたなど、米国発の問題だった。だから、ブッシュ大統領とポールソン財務長官が動いたのだ。

 今回の問題は中国発である。感染拡大防止に必死で米国CDCの研究者を受け入れられなかった国のトップが、現段階で新型コロナ問題の話し合いのために米国に来ることができるだろうか。また、移動制限(Lockdown)を発令するほどの事態に見舞われている欧州の国々の首脳が米国に来ることができるだろうか。

 米国では、ワクチンの開発に30社が競っていると政府関係者が話したが、まだどの国も解決策が確定していない中で、傍観者的に「国際協調ができていない」と批判するのは適当だとは思えない。