
ミニチューズデー(3月10日)の民主党予備選はバイデン氏が勝利して、選挙人獲得数を786人に増やし、サンダース氏(645人)との差をさらに広げた。この間、ハリス氏、ブーカー氏の2人の前大統領候補がバイデン氏支持を表明した。
これでバイデン氏は、自分を批判していた前候補のほとんどの支持と、民主党の重鎮と言われる人々や多くの現役議員の支持を得たため、誰の目にも民主党の候補となるのはほぼ確実と映っている。
しかし、サンダース氏は、2016年のクリントン氏との戦い以上に不利な状況に追い込まれているにもかかわらず、3月15日の民主党大統領候補討論会でバイデン氏との一騎打ちに臨むと宣言している。サンダース氏は何を頼りに選挙戦を続けようとしているのだろうか。
民主党包囲網でサンダース氏は四面楚歌
現職大統領の2期目を懸けた大統領選では、対抗政党の大統領候補がほぼ決まると、政治学者がテレビのインタビューに頻繁に登場し、現状の評価と次の4年間について解説するようになる。同時に日本など海外の米国専門家も似たような論調で意見を述べ始める。
彼らは今、米国で1970年代ごろに社会主義の萌芽があったこと、結局はそれが受け入れられなかったことについて話している。そして、今回の民主党と共和党の戦いは、オバマ前大統領以前の正統な中道に戻るか右に振り切っているトランプ路線の承認になるか、といった解説をしている。
これに加えて、トランプ大統領がフェイクニュースと呼ぶリベラルメディアが、スーパーチューズデーの後もサンダース批判の報道を続けている。中には、まるでバイデン氏が大統領選勝利後に新大統領側が作る政権移行チームを準備し始めたかのように、ブティジェッジ氏、クロブシャー氏、ブルームバーグ氏らすでに撤退した大統領候補のほか、ケリー元国務長官、ライス元安全保障担当補佐官、まだバイデン氏とサンダース氏のどちらを支持すると発表していないウォーレン氏らを閣僚候補として挙げている報道もある。
サンダース氏はこうした報道を批判しているものの、「社会主義(=共産主義)の権化」と色付けされた同氏を嫌う流れは止まらないようだ。
しかも、ブルームバーグ氏は、自分のキャンペーン関係者と資金をバイデン氏の応援に使うと話しており、少なくとも、3月末までの給与を彼らに支払っている。同氏のキャンペーンは大票田により多くの資金と人を投入してきたため、これがバイデン氏のミニチューズデーの勝利、および17日に行われる5つの州の選挙戦での有利な展開に導いている。
一方、どのメディアもバイデン氏は黒人に人気があるとしているが、これは冷静に考えてみれば不思議な話である。サンダース氏の政策案は多くの黒人にとってはプラスになるので、普通なら若者たちと同じく同氏を支持するはずだ。ところが、オバマ前大統領のレガシーや選挙という独特なムードと資金力に釣られてか、逆に動いている。風見鶏のクリントン氏も、サンダース氏を好きな米国人はいないと改めて言い切っている。
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