なぜブティジェッジとクロブシャーは撤退したのか
3月1日のワシントン・ポストにはブティジェッジ氏のルーツである地中海のマルタ島の話が載った。島民の3分の1はブティジェッジ姓で現役も前職の大統領もブティジェッジだというものだった。
米国では、メディアが予備選で急浮上してきた候補を細かく分析する慣習があるが、同紙の記事はまさにその第1弾だと思われた。しかし、同日に彼は撤退を表明。そして、バイデン支持の演説をした翌日の3日朝、同紙は彼とパートナーのチェイスティン氏との撤退表明前日の会話などを掲載した。
IA州とニューハンプシャー(NH)州に選挙資金を重点投下したブティジェッジ氏は、黒人とラテン系の多いSC州では勝てると思っておらず、そもそもパスしてスーパーチューズデーに懸けるような戦略だった。
これはクロブシャー氏も同様だ。その理由は、米国で犯罪学や人権問題を学ぶと出てくることなのだが、白人から差別される黒人やラテン系は、実はアジア人、LGBT、女性をより厳しく差別するからである。08年の民主党予備選で黒人のオバマ氏と女性のヒラリー・クリントン氏が争った際、この問題が持ち上がったのは、米国人にとっては記憶に新しい。
注目すべきは、これが今回も起こったと思われる点だ。ブティジェッジ氏は、真面目に戦うつもりのないSC州予備選から3月1日までの間に、カーター元大統領や自分が所属する米国正教会の牧師、冒頭に書いたような民主党重鎮に会っている。つまり、彼の実情を考えると、黒人基盤を重要視する民主党では勝ち目がないのでバイデン氏支持に回るようにとの要請があったと推測できる。
クロブシャー氏については、08年のクリントン候補と同様なったことはほぼ間違いないはずだ。いずれにせよ、2人ともバイデン政権誕生時には主要閣僚になるとの交換条件で撤退したと共和党はみている。
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