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 2月12日、下院司法委員会のナドラー委員長(民主党)はバー司法長官に対して、3月31日に証人喚問するとの召喚状を送り、バー司法長官はただちにこれを受け入れると発表した。

 召喚理由は、1年近く続いたミューラー特別調査官によるロシア疑惑の取り調べに対して妨害行為を働いたとの疑惑や、弾劾裁判の対象となったトランプ大統領がバイデン前副大統領と息子(ハンター氏)のウクライナ問題の調査開始を指示したとする疑惑などを調査するとのことである。

 しかし、この召喚状が発送された背景には以下のような事情がある。

 2月10日、ワシントンDCにある連邦地方裁判所で、検察官がトランプ大統領の政治コンサルタントであるロジャー・ストーン氏のロシア疑惑に関する7つの罪状について禁錮7~9年との量刑意見を提出した。これに対して、トランプ大統領は量刑が重すぎると不満を呈した。同大統領の指示を受けた司法省は、ただちに量刑を軽くすることを求める意見を出し、検察官4人は辞任した。

 この一連の問題をバー司法長官に問いただそうというのが召喚状の目的である。

 司法委員会の他の民主党メンバーはこれに関する長文のリポートを作成している。その一方で、共和党メンバーはこの日の委員会を欠席した。

 再び、トランプ大統領の態度に対する民主党の戦いが始まったと同時に、メディアが騒ぐ分断の要素が1つ増えたのである。

トランプ陣営のリベンジ開始

 しかし、1月7日付拙稿「民主党に戻ってきたロシア疑惑ブーメラン」で書いた通り、司法省は、ロシア疑惑に対するFBI捜査を巡る問題の調査を本格化している。この結果が3月末までに提出される予定だ。

 また、ウクライナ疑惑については、①ジュリアーニ元ニューヨーク市長(現在はトランプ大統領の私的弁護士)が、ハンター氏のウクライナ・ブリスマ社(エネルギー関連の会社)の役員としての年収について2月10日にバイデン候補に質問していること、②ハンター氏はエネルギーの専門家ではなくウクライナ自体にも精通していなかったという事実、③バイデン候補(当時は副大統領)がウクライナのショーキン検事総長によるブリスマ社の捜査をやめさせたこと、④バイデン候補(同)が同検事総長の罷免を要求したことなど、明確にしなければならない事実が目白押しである。

 トランプ陣営は、これらを全て白日の下にさらして、白黒つけようとの魂胆だ。