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 2月3日にアイオワ州で実施される米民主党の党員集会を皮切りに、11月に予定されている大統領選本選に向けた予備選挙が始まる。共和党はトランプ大統領で決まりだが、民主党は2019年6月以降、候補者による討論会を7回開催したにもかかわらず、有力候補を絞り切れていない。混乱状況にあると言ってもいいかもしれない。

 もっとも、トランプ弾劾裁判が、この混乱状況に変化を与えそうだ。弾劾裁判のスケジュールに民主党上院がかなりの時間を取られるためだ。

選挙活動を中断せざるを得ない民主党の有力3候補

 弾劾裁判は1月21日から始まっているが、検事役の米下院民主党とトランプ弁護団はそれぞれ1日8時間、3日間かけて論告することになっている(土曜も開会)。陪審員役の上院議員が双方に質問するのは1月29日以降だが、その状況いかんで、新たな証人喚問を実施するかどうかの決議に突入する。不実施となった場合には31日中にも判決が出されるが、新たな証人喚問がある場合は1月31日以降も裁判が続く。つまり、早くても弾劾裁判が終わるのは1月末だ(本稿は1月26日に執筆している)。

 ここで問題になるのは、民主党の大統領候補の多くが現役の上院議員だということである。現在、大統領候補はバイデン前副大統領を筆頭に、サンダース上院議員、ウォーレン上院議員、ブティジェッジ・サウスベンド前市長、クロブシャー上院議員に絞られつつある。このうち3人が現役の上院議員だ。

 この3人の候補は予備選開始目前であるにもかかわらず、弾劾裁判中は裁判に集中するため、短くて1週間、長ければ2週間ほど選挙活動を中断せざるを得ない。

トランプ大統領に対する弾劾裁判が始まった(写真:US Senate TV/AFP/アフロ)

 先週から始まった史上3回目の弾劾裁判。ここでその具体的な仕組みを見ておきたい。

 上院議員は各州2人ずつ計100人で構成されている(現在は共和党が53名、民主党が47名)。彼らは議長席に向かって扇形に据え付けられた席に座っており、日本の参議院と似ている。上院議員の席の前に左右2つの大きな机があり、向かって左側の民主党席の前に検察役の下院民主党員が、右側の共和党席の前にトランプ弁護団が座っている。

 弾劾裁判時の仕切りは上院多数派のリーダー(今回はミッチ・マコネル氏)がやるものの、上院議長席には副大統領ではなく、最高裁の首席裁判官(今回はジョン・ロバーツ氏)が着席、開会や閉会を宣言する。毎日、参加者全員が米国旗に向かって正義を誓う宣誓をした後に弾劾裁判が開始されるという儀式的なところもある。

 開会は午後1時と決まっているので、1日8時間ということは、毎日、最長で午後9時まで行われることになる。ちなみに、25日のトランプ弁護団の説明は2時間で終わった。